The Hidden Cause
このような不調はありませんか?
常に「闘争・逃走反応」が働き、リラックスできない状態。血管が収縮し、全身の血流が遮断されています。
高血圧や血糖値の上昇。
「薬を飲んでいるから大丈夫」と、根本原因を放置していませんか?
脳への血流不足(酸欠)は「ブレイン・フォグ」を招き、経営判断に必要な直感力や決断力を奪います。
About Stress-Free Therapy
当院は「ストレスフリー療法」を提供しています。
ストレスフリー療法とは、身体の6点に心地よい赤外線刺激を与える、独自の温熱アプローチです。
特許取得済みの精密な温度制御により、効率よく血行を促進。副作用のリスクを抑え、日常のストレスで緊張した心身を優しく解きほぐします。
48℃未満の心地よい刺激が、効率的に血流を促し、深いリラックス状態へと導きます。銀座の落ち着いた空間で、身体への負担を抑えた科学的なアプローチをご提供します。



ストレスフリー療法は、独自の温熱周波数により深部体温を上げ、自律神経に直接アプローチする方法です。ただ温めるだけではない、3つの生理学的反応を引き起こします。
心地よい温熱刺激で身体を芯から温め、滞りがちな血行を促進して、冷えによる悩みや毎日のコンディションを整えます。
独自の温熱リズムが日々のストレスで張り詰めた心身の緊張を優しくほぐし、深いリラックス状態へと導きます。
患部や特定のポイントを温めることで、日頃の活動で蓄積した筋肉の疲れを和らげ、身体のこりを健やかにほぐします。
Our Strengths
| ストレスフリー療法 | 再生療法 | 高級スパ・整体 | |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 血流・神経(根本改善) | 細胞レベル | 筋肉・表層 |
| リスク | 極小 | 身体的負担あり | ほぼなし |
| 心理的面 | 日常的なメンテナンス | 最後の一手 | ご褒美・癒やし |
STRENGTHS
Treatment Guidelines
現代社会のストレスフルな環境にさらされ続けることで慢性的に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモンの一つ)の低下を促し、体の不調の根本原因へのアプローチを目指す。
全身の血流量の増幅を促し、体内の37兆個の細胞一つ一つをくまなく活性化し、自己治癒力を最大限引き出すことを目指す。
加齢とともに減少する成長ホルモンの体内からの分泌力を再生し、代謝・免疫・認知機能の復調を目指す。
エストロゲン・テストステロンといった性ホルモンの体内からの分泌を促し、血管・脳・骨・筋肉・皮膚へのホルモン本来の保護作用の復活を目指す。
抗炎症サイトカインであるIL-10の産生を促し、老化の原因である慢性炎症をはじめとする体内の炎症の駆逐を目指す。
体内の1京個のミトコンドリアの機能の正常化を促し、活性酸素の発生を減じ、炎症性老化の抑制を目指す。
複合的・総合的なアプローチの積み重ねにより、テロメアの短縮抑制や細胞の老化時計を巻き戻すことで、遺伝子レベルでの生物学的年齢の若返りの実現を目指す。
Treatment Guidelines
MASSAGE

東日本大震災をきっかけに、厳しい寒さの中で人が置かれる身体的負担と向き合い、体温や代謝が生命活動に与える影響を深く見つめ直しました。
そこから、身体に過度な負担をかけないケアの研究が始まりました。
生命倫理委員会の指針に基づき、独自の呼吸法と温熱刺激による心身への影響を科学的に検証。
最小限の刺激で深いリラックスをもたらす、科学的根拠に基づいた温熱療法を、銀座から丁寧に提供してまいります。
KENJI RYOTOKUZI
了徳寺 健二

ストレスフリー療法と出会い、その効果に強い可能性を感じました。
身体への負担を抑えながら、本来の状態へと整えていく——その考え方に深く共感しています。
この療法を、必要としている方にきちんと届けたい。
その想いから、2023年4月より銀座数寄屋橋クリニックにて、
ストレスフリー療法に特化した診療を行っています。
日々忙しく、自身のケアが後回しになりがちな方こそ、
安心して身を委ねられる時間と環境を大切にしたい。
銀座という場所から、誠実な医療のかたちを提供してまいります。
TAKUNORI SATO
佐藤 琢紀

Clinic Information/Access
〒104-0061
東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル7F

Blog
「NMN」「サーチュイン」「長寿遺伝子」——健康や若返りに関心のある方なら、こうした言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。近年の長寿科学(老化研究)のなかで、とりわけ熱い視線を集めているのが、「NAD+(エヌエーディー・プラス)」という物質と、「サーチュイン」と呼ばれる酵素の関係です。 けれども、名前は聞いたことがあっても、それがいったい何で、なぜ若さと関わるのかは、なかなかイメージしづらいものです。 この記事では、NAD+とサーチュインとはそもそも何なのか、なぜ加齢と結びつくのか、そしてNMNなどの話題をどう冷静に受けとめればよいのかを、できるだけわかりやすく解説します。 NAD+とは——ATPを生み出すための「電子の運び屋」 まずNAD+から見ていきましょう。NAD+は、私たちの体のほぼすべての細胞に存在する、小さな補酵素(酵素の働きを助ける物質)です。 その最大の役割は、食べたものからエネルギーを取り出す反応を支えることです。細胞がブドウ糖や脂肪を燃やしてエネルギー(ATP)をつくり出すとき、NAD+は電子を受け渡しする「運び屋」として、絶えず働いています。この反応の多くは、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアで行われています。細胞がつくり出すATPが"直接使えるエネルギー"とするならば、NAD+はいわばその"ATPを生み出すための電子の運び屋"——体中の細胞で、日々休みなく働いている縁の下の力持ちです。 さらに近年、NAD+がエネルギー産生だけでなく、DNAの修復や、細胞の状態を調節するさまざまな酵素の働きにも欠かせないことがわかってきました。その代表格が、次に紹介するサーチュインです。 サーチュインとは——「長寿遺伝子」と呼ばれる調整役 サーチュインは、しばしば「長寿遺伝子」と呼ばれる一群の酵素です。この呼び名は、酵母や線虫、マウスといった生きものの研究で、サーチュインの働きが寿命や健康の維持と関わることが示されてきたことに由来します。 サーチュインは、細胞の中でいわば「調整役」のような働きをします。エネルギーの使い方を整えたり、DNAやたんぱく質のメンテナンスを助けたり、ストレスへの対応にかかわったりと、細胞が健やかさを保つための幅広い調節に関与すると考えられています。 そして、ここが重要な点ですが、サーチュインはNAD+がなければ働けません。サーチュインが仕事をするたびにNAD+を必要とするため、NAD+はサーチュインの「燃料」のような役割を果たしています。つまり、NAD+とサーチュインは、二人三脚で細胞の健やかさを支えている、と考えるとイメージしやすいでしょう[1]。 なぜ加齢と結びつくのか——NAD+は歳とともに減る傾向 この仕組みが老化研究で注目されるのは、加齢との関わりが指摘されているからです。 さまざまな研究から、体の中のNAD+の量が、加齢とともに減っていく傾向にあることが報告されています[2]。NAD+が減れば、それを燃料とするサーチュインも十分に働きにくくなり、エネルギーの調整や細胞のメンテナンスにも影響が及ぶのではないか——そう考えられています。 また、NAD+を消費する反応は、加齢や慢性的な炎症のもとで増えるとも指摘されています。体の中でくすぶる炎症は、この点で慢性炎症と老化(インフラメイジング)とも重なるテーマです。 そこで研究者たちは、「NAD+のレベルを支えることが、健やかな加齢につながるのではないか」という仮説のもとで、活発に研究を進めています。ただし、これらの多くはまだ細胞や動物モデル、あるいは初期段階のヒト研究であり、結論が確定しているわけではない、という点は正しく押さえておく必要があります。 NMN・NRなどの話題をどう受けとめるか NAD+そのものは大きな分子で、飲んでもそのままでは細胞に届きにくいとされます。そこで注目されているのが、体内でNAD+のもとになる「前駆体」と呼ばれる物質で、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)やNR(ニコチンアミド・リボシド)といった名前で知られています。 これらを補うことで体内のNAD+を支えられるのではないか、という考えから、サプリメントとしても関心を集めています。動物実験では有望な結果も報告されていますが、ヒトでの効果や安全性、適切な量については、まだ研究が積み重ねられている段階です。 大切なのは、話題や期待だけで飛びつかないことです。「飲めば若返る」と言い切れる段階ではなく、体質や持病、飲んでいる薬によっては注意が必要な場合もあります。サプリメントを検討する際は、宣伝の強さではなく、こうした前提を理解したうえで、必要に応じて医師に相談することをおすすめします。 そして忘れてはならないのは、NAD+やサーチュインの働きは、特別なものを足すことだけで支えられるわけではない、という点です。適度な運動や、食べすぎない食習慣、質のよい睡眠といった生活が、これらの仕組みと関連することが指摘されています。土台となるのは、やはり日々の暮らしなのです。 細胞のエネルギーを見つめて——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 重症の患者さんを診るなかで、私が幾度となく実感してきたのは、「生命は、細胞レベルのエネルギーのやりくりに支えられている」ということです。全身の状態が大きく傾くとき、その根っこでは、細胞がエネルギーをうまくつくり・使えなくなる「代謝の破綻」が起きています。ふだんは意識することのない、細胞の中の地道なエネルギーのやりとりが、いかに命の土台であるかを、現場で痛感してきました。 NAD+は、まさにそのエネルギーのやりとりの中心にある物質です。もちろん、重症の現場と、健やかな加齢の話は程度がまったく違います。それでも、「細胞のエネルギーの通貨を、いかに枯らさず支えるか」という視点は、日々の若々しさを考えるうえでも一本の芯として通っていると、経験から感じています。 まとめ NAD+は、ほぼすべての細胞がエネルギー産生に使う補酵素で、ATPを生み出すための"電子の運び屋"のような存在です。 サーチュイン(長寿遺伝子)は細胞の調整役として健やかさを支えますが、その働きにはNAD+が欠かせません。両者は二人三脚の関係です。 NAD+は加齢とともに減る傾向が報告され、老化研究の焦点になっています。NMNなどの話題もありますが、証拠の多くは動物モデルや初期段階のヒト研究であり、過度な期待は禁物。運動・食習慣・睡眠といった土台が基本です。 NAD+とサーチュインをめぐる研究は、これからの長寿科学の大きな柱の一つです。とはいえ、その働きを支える出発点は、特別な何かではなく、細胞のエネルギー代謝を健やかに保つ日々の暮らしにあると考えられます。 当院が行うストレスフリー療法も、穏やかな温熱刺激を通じて血流を促し、細胞の好気的なエネルギー代謝(ミトコンドリアの働き)を支えることを目指す取り組みです(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方には個人差があります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 細胞レベルの若々しさの土台づくりにご関心のある方は、当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. サーチュインは「長寿遺伝子」と聞きましたが、活性化すれば長生きできるのですか?A. サーチュインが寿命や健康の維持と関わることは、酵母・線虫・マウスなどの研究で示されてきましたが、ヒトで「活性化すれば長生きできる」と確定したわけではありません。研究が積み重ねられている段階です。適度な運動や食べすぎない食習慣が、その働きと関連することは指摘されています。変化には個人差があります。 Q. NMNのサプリメントを飲めば、NAD+が増えて若返りますか?A. NMNは体内でNAD+のもとになる前駆体で、動物実験では有望な報告もありますが、ヒトでの効果・安全性・適切な量については、まだ研究が続いている段階です。「飲めば若返る」と言い切れるものではありません。体質・持病・服用中の薬によっては注意が必要なこともあるため、検討する際は医師にご相談ください。 Q. NAD+を生活のなかで支えるには、どうすればよいですか?A. 特別なものを足すことばかりが方法ではありません。適度な運動、食べすぎない食習慣、質のよい睡眠といった生活が、NAD+やサーチュインの仕組みと関連することが指摘されています。まずはこうした土台を整えることが基本と考えられます。 参考文献 ・Verdin E.「NAD+ in aging, metabolism, and neurodegeneration」(2015年、Science, 350(6265):1208–1213)— NAD+が加齢・代謝・神経変性に果たす役割と、加齢にともなうNAD+低下、前駆体補充の可能性を整理した総説。doi:10.1126/science.aac4854. 出典 ・Imai S, Guarente L.「NAD+ and sirtuins in aging and disease」(2014年、Trends in Cell Biology, 24(8):464–471)— NAD+とサーチュインが代謝や加齢を調節する仕組みと、加齢にともなうNAD+低下の関わりを論じた総説。doi:10.1016/j.tcb.2014.04.002. 出典 ※本記事で紹介した研究知見は、いずれも発展途上の研究分野におけるものであり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。NMN・NR等のサプリメントの効果・安全性を保証するものでもありません。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。研究知見には今後の検証が必要な発展段階のものが含まれます。体の状態には個人差があります。サプリメント等の使用を検討する際は医療機関にご相談ください。
同窓会に行くと、同じ年齢のはずなのに、驚くほど若々しい人もいれば、そうでない人もいる——だれもが一度は感じたことのある光景ではないでしょうか。カレンダーが刻む「暦(こよみ)の年齢」は全員に平等ですが、体の内側の「本当の年齢」は、どうやら人それぞれのようです。 では、その「本当の年齢」を、感覚ではなく数字で測ることはできるのでしょうか。近年、この問いに答える有力な手がかりとして注目されているのが、「エピジェネティック・クロック(epigenetic clock)」です。 この記事では、エピジェネティック・クロックとはそもそも何なのか、なぜDNAから年齢が読み取れるのか、そして何が分かって何が分からないのかを、できるだけわかりやすく解説します。なお、暦の年齢と生物学的年齢の違いという全体像については「老化時計」とは何かで、生物学的年齢の測り方全般については生物学的年齢はどう測る?でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。 エピジェネティクスとは——DNAの「使い方」の目印 はじめに、「エピジェネティクス」という言葉を整理しておきます。 私たちの体をつくる設計図がDNAです。この設計図そのもの(遺伝子の並び)は、生まれてから基本的に変わりません。ところが、同じ設計図を持っていても、細胞ごとに「どの遺伝子を使い、どれを使わないか」は違います。皮膚の細胞と肝臓の細胞が、同じDNAを持ちながらまったく別の姿をしているのは、このためです。 この「遺伝子の使い方」を切り替えるスイッチのような仕組みが、エピジェネティクスです。その代表が「DNAメチル化」と呼ばれる目印で、DNAの特定の場所に小さな標識(メチル基)が付いたり外れたりすることで、遺伝子のはたらきが調節されています。 なぜDNAで「年齢」がわかるのか ここからが本題です。研究者たちは、たくさんの人のDNAメチル化のパターンを年齢と照らし合わせるうちに、あることに気づきました。特定の場所のメチル化の付き方が、年齢とともに規則的に変化していくのです。 ある場所は歳を重ねるほどメチル化が進み、別の場所は逆に外れていく——この変化は、多くの人でおおよそ共通した「時を刻むリズム」を持っていました。そこで、年齢と強く連動する数百か所のメチル化の状態を選び出し、それらを組み合わせて年齢を推定する数式がつくられました。これが「エピジェネティック・クロック」です。 2013年に発表されたホルバース(Horvath)の時計は、さまざまな組織で暦の年齢をよく言い当てることが示され、この分野の出発点となりました[1]。以来、多くの改良版が生まれています。 第一世代と第二世代——「暦の年齢」から「体の状態」へ エピジェネティック・クロックは、大きく二つの世代に分けて理解すると分かりやすくなります。 第一世代の時計(ホルバースの時計など)は、「暦の年齢をできるだけ正確に言い当てる」ことを目指してつくられました。つまり、DNAから実際の年齢を推定するものです。 第二世代の時計は、目的が一歩進んでいます。単に暦の年齢を当てるのではなく、「その人の健康状態や、将来の見通しとどれだけ結びつくか」を重視して設計されました。たとえば2018年に報告された「PhenoAge(フェノエイジ)」という時計は、暦の年齢そのものよりも、健康にかかわるさまざまな指標とよく結びつくことが示されています[2]。 ここで面白いのは、エピジェネティック・クロックが示す年齢が、暦の年齢とずれることがある点です。時計の示す年齢が暦より高ければ「体は歳よりも進んでいるかもしれない」、低ければ「暦よりゆっくり進んでいるかもしれない」——そんなふうに、体の内側の時間の進み方をのぞく窓として関心を集めているのです。 何が分かって、何が分からないのか 期待の大きい分野ですが、冷静な線引きも大切です。 分かってきているのは、エピジェネティック・クロックが、集団で見たときに加齢や健康と統計的によく結びつく、ということです。研究の道具として、また加齢のスピードをとらえる指標として、有力だと考えられています。 一方で、注意すべき点もあります。時計にはいくつもの種類があり、どれを使うかで結果は変わります。一人ひとりの数値がどこまで正確に「その人の未来」を言い当てるかは、まだ研究が重ねられている段階です。また、「時計の数字を下げれば、それだけで若返る」と単純に言い切れるわけではありません。時計はあくまで体の状態を映す「指標」であって、数字そのものが原因ではないからです。 そのうえで、生活習慣——たとえば食事、運動、睡眠、喫煙やストレスなど——が、こうした加齢の指標と関連することは指摘されています。数字に一喜一憂するためではなく、「自分の体の時間の進み方を、生活を通じて支えられるかもしれない」という前向きな手がかりとして受けとめるのが、健やかな向き合い方だと考えられます。 「体の実年齢」を診るということ——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急の現場で強く感じてきたのは、「暦の年齢は、その人の体の余力をそのままは表さない」ということです。同じ80歳でも、大きな治療を乗り越えていく方もいれば、小さなきっかけで一気に弱ってしまう方もいます。カルテに書かれた数字よりも、体そのものが持っている「実年齢」というべき余力が、その後を大きく左右する——これを、私は幾度となく目にしてきました。 だからこそ、暦の年齢とは別に、体の内側の時間の進み方を数字でとらえようとするエピジェネティック・クロックの考え方には、大きな意味があると感じています。当院でも、DNAメチル化を読み取るアレイ(EPICアレイ)を用いて、生物学的な年齢の測定に取り組んでいます。自分の体の時間を知ることは、これからの健康を考える出発点になりうると考えています。 まとめ エピジェネティック・クロックは、DNAメチル化という「遺伝子の使い方の目印」のパターンから、生物学的な年齢を推定する仕組みです。 暦の年齢を当てる第一世代(ホルバースの時計など)から、健康状態との結びつきを重視する第二世代(PhenoAgeなど)へと発展してきました。 集団での加齢や健康と統計的に結びつく有力な指標ですが、種類によって結果は異なり、個人の未来を確定するものではありません。生活習慣との関連が指摘されています。 自分の体の「本当の年齢」を数字でとらえる試みは、これからの予防やアンチエイジングを考えるうえで、大きな可能性を秘めています。とはいえ、時計の数字は原因ではなく結果であり、日々の暮らしの積み重ねが、その針の進み方に関わっていくと考えられます。 当院が行うストレスフリー療法についても、細胞レベルの若返りにかかわる指標の変化を示す初期データが得られていますが、これは予備的な研究段階のものであり、はたらき方には個人差があります。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 自分の生物学的年齢や、その支え方にご関心のある方は、当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. エピジェネティック・クロックは、健康診断の数値とは何が違うのですか?A. 血圧やコレステロールなどの健康診断の数値は、いまの体の状態の一断面を映します。これに対しエピジェネティック・クロックは、DNAメチル化のパターンから「体の時間がどれくらい進んでいるか」という、加齢のスピードそのものをとらえようとする指標です。どちらも役割が異なり、補い合うものと考えられます。 Q. エピジェネティック年齢は、生活習慣で変えられるのですか?A. 食事・運動・睡眠・喫煙・ストレスといった生活習慣が、こうした加齢の指標と関連することは指摘されています。ただし、「数字を下げれば必ず若返る」と単純に言い切れるわけではなく、時計はあくまで体の状態を映す指標です。研究が重ねられている段階であり、変化には個人差があります。 Q. テロメアの検査とエピジェネティック・クロックは同じものですか?A. どちらも「生物学的年齢」をとらえる手がかりですが、見ているものが違います。テロメアは染色体の末端の長さ、エピジェネティック・クロックはDNAメチル化のパターンに注目します。それぞれ別の角度から加齢を映すもので、生物学的年齢の測り方全般については生物学的年齢はどう測る?で解説しています。 参考文献 ・Horvath S.「DNA methylation age of human tissues and cell types」(2013年、Genome Biology, 14:R115)— 複数の組織で暦年齢をよく推定する多組織型のDNAメチル化時計を示し、エピジェネティック・クロック研究の出発点となった論文。doi:10.1186/gb-2013-14-10-r115. 出典 ・Levine ME, et al.「An epigenetic biomarker of aging for lifespan and healthspan」(2018年、Aging (Albany NY), 10(4):573–591)— 暦年齢よりも健康・寿命にかかわる指標とよく結びつく第二世代の時計「DNAm PhenoAge」を報告した論文。doi:10.18632/aging.101414. 出典 ※本記事で紹介した研究知見は、いずれも発展途上の研究分野におけるものであり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療の効果を保証するものではありません。研究知見には今後の検証が必要な発展段階のものが含まれます。体の状態には個人差があります。
「腸活」という言葉をよく聞くようになりました。ヨーグルトや発酵食品、食物繊維——腸によいとされる食べ物が、さまざまな場面で話題にのぼります。 けれども、なぜ腸をそこまで大切にするのか、腸内環境が整うと体にとって何がよいのか。ここはなんとなくのまま、という方が多いのではないでしょうか。 実は腸は、食べたものを消化・吸収するためだけの臓器ではありません。免疫や脳、全身の炎症とも深くつながり、体の調子や加齢にも関わっていることがわかってきています。この記事では、腸内環境とは何か、なぜ全身に影響するのか、そして整えるための生活の視点を、できるだけわかりやすく解説します。 腸内細菌とは——おなかにすむ膨大な「住人」たち 私たちの腸の中には、非常に多くの細菌がすんでいます。その種類は多様で、全体として一つの生態系のようなまとまりをつくっており、その様子がお花畑にたとえられて「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれます。 これらの細菌は、体によいはたらきをするもの、そうでないもの、状況によってどちらにもなるものなど、さまざまです。大切なのは、特定の一種類を増やすことよりも、多様な細菌がバランスよく共存していることだと考えられています。この「多様性」と「バランス」が、腸内環境を考えるうえでの鍵になります。 腸は全身とつながっている——免疫・脳・炎症 腸が「第二の脳」「免疫の要」などと呼ばれるのは、その役割が消化だけにとどまらないからです。 まず、免疫です。体の免疫にかかわる細胞の多くが腸に集まっているとされ、腸は外から入ってくるものに対する、体の重要な防御の場になっています。 次に、脳とのつながりです。腸と脳は神経やさまざまな物質を介して双方向に影響し合っており、これは「脳腸相関」と呼ばれます。緊張するとおなかの調子が悪くなる、という経験は、そのわかりやすい一例です。ここには自律神経も深く関わっています(自律神経については自律神経の乱れを整えるをご覧ください)。 そして、炎症です。腸の壁は、必要なものを取り込み、不要なものや有害なものの侵入を防ぐ「バリア」の役割を担っています。腸内環境が乱れてこのバリアがうまく働かなくなると、本来入ってくるべきでないものが体内に入り込み、体の中でくすぶる弱い炎症を後押しする方向にはたらくと指摘されています。この慢性炎症と老化の関係は慢性炎症と老化で解説しています。 加齢と腸内環境——「多様性」が下がりやすくなる 腸内環境は、生涯を通じて一定なわけではありません。食事や生活、加齢によって変化していきます。 一般に、加齢とともに腸内細菌の多様性は低下しやすくなると言われています。多様性が下がると、腸内環境のバランスが崩れやすくなり、先ほどお話しした免疫やバリアのはたらきにも影響しうると考えられています。 ただし、腸内環境と老化の関係は、まだ研究が進んでいる発展途上の領域です。「腸内環境を整えれば若返る」といった単純な話ではありません。順序としては、腸内環境の乱れを防ぎ、バリアや免疫のはたらきを支えることが、全身のコンディションを保つ土台になりうる——という関係として理解するのが正確です。そして心強いのは、腸内環境が食事や生活習慣によって変わりうる、という点です。老化の科学全体の見取り図については老化時計とはもあわせてご覧ください。 腸内環境を整える生活の視点 では、腸内環境を整えるにはどうすればよいのでしょうか。ここでも、特別な近道や「これさえ食べれば」という魔法の食品があるわけではありません。鍵は、多様な細菌を育てる「多様でバランスのよい食事」です。研究で言われている方向性をいくつか挙げます。 食物繊維をとる:野菜、果物、海藻、豆類、全粒の穀物などに含まれる食物繊維は、腸内細菌のエサになります 発酵食品をとり入れる:ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などの発酵食品も、腸内環境を支える方向にはたらくとされています いろいろな食品をバランスよく:一つの食品に偏らず、多様な食材をとることが、細菌の多様性を育てる土台になります 睡眠・運動・ストレスケア:脳腸相関を通じて、生活リズムやストレスも腸に影響します。十分な休息と適度な運動も土台の一部です なお、特定のサプリメントや、極端な食事制限に頼りきる必要はありません。まずは日々の食事と生活の土台を整える、という発想が現実的です。 救急医の視点から——重症時に現れる「腸のバリア」の大切さ 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急・集中治療の現場では、腸が単なる消化器官ではないことを、いやおうなく実感させられます。体が重い病気やけがで危機的な状態に陥ると、腸のバリア機能が弱まり、腸の中のものが体に影響を及ぼして、全身の状態をさらに揺るがすことがあるのです。腸は、いわば体を守る「防御の最前線」の一つでもあります。 もちろん、これは極限的な状況の話です。けれども、こうした場面を見てきたからこそ、腸を「食べたものを消化するだけの場所」とは決して思えません。日常の健康においても、腸のバリアや腸内環境を穏やかに保つことは、全身の土台を支える、静かで大切な営みなのだと感じています。 まとめ 腸は消化だけでなく、免疫・脳(脳腸相関)・全身の炎症とも深くつながっています。腸内細菌は「多様性」と「バランス」が鍵です。 腸内環境の乱れはバリアの低下を通じて慢性炎症などにつながりうる一方、食事や生活で変えられます。加齢では多様性が下がりやすくなります。 整える基本は「多様でバランスのよい食事」。食物繊維・発酵食品・多彩な食材と、睡眠・運動・ストレスケア。極端な方法や特定サプリ頼みは不要です。 腸内環境を穏やかに保つこと、そして腸を含む全身の土台をていねいに整えること。それが健やかに年齢を重ねるうえでの一つのテーマであることは、研究でも少しずつ示されつつあります。とはいえ、忙しい毎日のなかでそれを続けるのは、思いのほか難しいものです。 当院が行うストレスフリー療法は、腸内環境を直接の標的とする治療ではありませんが、自律神経やストレス、血流といった、脳腸相関にも関わる体の土台に着目した取り組みで、体のコンディションを整えることを目指しています(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方には個人差があります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 体の土台づくりにご関心のある方は、当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 「腸活」は何から始めればよいですか? A. 特別なことより、まずは食事の土台を整えることからです。食物繊維(野菜・果物・海藻・豆・全粒穀物)と発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌など)を、いろいろな食材とバランスよくとるのが基本です。特定の食品やサプリに頼りきる必要はありません。 Q. ヨーグルトを食べれば腸内環境はよくなりますか? A. 発酵食品は腸内環境を支える方向にはたらくとされますが、一つの食品だけで整うわけではありません。大切なのは、多様な細菌を育てる「多様でバランスのよい食事」です。食物繊維をあわせてとることも助けになります。 Q. 腸内環境は老化と関係がありますか? A. 加齢とともに腸内細菌の多様性は低下しやすく、免疫やバリアのはたらきにも影響しうると考えられています。ただし、この分野はまだ研究が進んでいる段階です。「整えれば若返る」と断定はできませんが、全身の土台を支える一つの要素として注目されています。 参考文献 Cryan JF, et al.「The Microbiota-Gut-Brain Axis」(2019年、Physiological Reviews)— 腸内細菌と脳が双方向に影響し合う「脳腸相関」を包括的にまとめたレビュー。出典 Wilmanski T, et al.「Gut microbiome pattern reflects healthy ageing and predicts survival in humans」(2021年、Nature Metabolism)— 腸内細菌叢のパターンが健康的な加齢や生存と関連することを示した研究。出典 ※参考文献の情報はPubMedにもとづいて確認しています。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療の効果を保証するものではありません。研究知見には今後の検証が必要な発展段階のものが含まれます。体の状態には個人差があります。気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。