The Hidden Cause
このような不調はありませんか?
常に「闘争・逃走反応」が働き、リラックスできない状態。血管が収縮し、全身の血流が遮断されています。
高血圧や血糖値の上昇。
「薬を飲んでいるから大丈夫」と、根本原因を放置していませんか?
脳への血流不足(酸欠)は「ブレイン・フォグ」を招き、経営判断に必要な直感力や決断力を奪います。
About Stress-Free Therapy
当院は「ストレスフリー療法」を提供しています。
ストレスフリー療法とは、身体の6点に心地よい赤外線刺激を与える、独自の温熱アプローチです。
特許取得済みの精密な温度制御により、効率よく血行を促進。副作用のリスクを抑え、日常のストレスで緊張した心身を優しく解きほぐします。
48℃未満の心地よい刺激が、効率的に血流を促し、深いリラックス状態へと導きます。銀座の落ち着いた空間で、身体への負担を抑えた科学的なアプローチをご提供します。



ストレスフリー療法は、独自の温熱周波数により深部体温を上げ、自律神経に直接アプローチする方法です。ただ温めるだけではない、3つの生理学的反応を引き起こします。
心地よい温熱刺激で身体を芯から温め、滞りがちな血行を促進して、冷えによる悩みや毎日のコンディションを整えます。
独自の温熱リズムが日々のストレスで張り詰めた心身の緊張を優しくほぐし、深いリラックス状態へと導きます。
患部や特定のポイントを温めることで、日頃の活動で蓄積した筋肉の疲れを和らげ、身体のこりを健やかにほぐします。
Our Strengths
| ストレスフリー療法 | 再生療法 | 高級スパ・整体 | |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 血流・神経(根本改善) | 細胞レベル | 筋肉・表層 |
| リスク | 極小 | 身体的負担あり | ほぼなし |
| 心理的面 | 日常的なメンテナンス | 最後の一手 | ご褒美・癒やし |
STRENGTHS
Treatment Guidelines
現代社会のストレスフルな環境にさらされ続けることで慢性的に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモンの一つ)の低下を促し、体の不調の根本原因へのアプローチを目指す。
全身の血流量の増幅を促し、体内の37兆個の細胞一つ一つをくまなく活性化し、自己治癒力を最大限引き出すことを目指す。
加齢とともに減少する成長ホルモンの体内からの分泌力を再生し、代謝・免疫・認知機能の復調を目指す。
エストロゲン・テストステロンといった性ホルモンの体内からの分泌を促し、血管・脳・骨・筋肉・皮膚へのホルモン本来の保護作用の復活を目指す。
抗炎症サイトカインであるIL-10の産生を促し、老化の原因である慢性炎症をはじめとする体内の炎症の駆逐を目指す。
体内の1京個のミトコンドリアの機能の正常化を促し、活性酸素の発生を減じ、炎症性老化の抑制を目指す。
複合的・総合的なアプローチの積み重ねにより、テロメアの短縮抑制や細胞の老化時計を巻き戻すことで、遺伝子レベルでの生物学的年齢の若返りの実現を目指す。
Treatment Guidelines
MASSAGE

東日本大震災をきっかけに、厳しい寒さの中で人が置かれる身体的負担と向き合い、体温や代謝が生命活動に与える影響を深く見つめ直しました。
そこから、身体に過度な負担をかけないケアの研究が始まりました。
生命倫理委員会の指針に基づき、独自の呼吸法と温熱刺激による心身への影響を科学的に検証。
最小限の刺激で深いリラックスをもたらす、科学的根拠に基づいた温熱療法を、銀座から丁寧に提供してまいります。
KENJI RYOTOKUZI
了徳寺 健二

ストレスフリー療法と出会い、その効果に強い可能性を感じました。
身体への負担を抑えながら、本来の状態へと整えていく——その考え方に深く共感しています。
この療法を、必要としている方にきちんと届けたい。
その想いから、2023年4月より銀座数寄屋橋クリニックにて、
ストレスフリー療法に特化した診療を行っています。
日々忙しく、自身のケアが後回しになりがちな方こそ、
安心して身を委ねられる時間と環境を大切にしたい。
銀座という場所から、誠実な医療のかたちを提供してまいります。
TAKUNORI SATO
佐藤 琢紀

Clinic Information/Access
〒104-0061
東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル7F

Blog
以前より階段で息が切れやすくなった。坂道で立ち止まる回数が増えた——多くの方が「年のせい」で片づけてしまう変化です。 しかし、息切れという症状そのものは、本来「年のせい」で片づけてよいものではありません。 循環器・救急の視点から見れば、労作時の息切れは心臓(循環器系)や肺(呼吸器系)に何らかの異常が起きていることを示すサインであり、原因を確かめるべき症状です。もちろん、原因が分かったからといって全員が即座に強い治療を必要とするわけではありませんが、「年齢のせいだろう」と原因を調べずに様子を見てしまうことは、本来避けたい対応です。 一方で、心臓の拡張機能という構造・機能そのものは、症状の有無にかかわらず、加齢とともに緩やかに変化していくことが分かっています。この記事では、まずその加齢変化の実態を整理し、そのうえで「息切れ」という症状とどう向き合うべきかを解説します。 「臓器年齢」という考え方で扱ったとおり、体の中で心臓は比較的早く加齢の影響が表れやすい臓器のひとつとして報告されています。この記事では、その心臓に焦点をあてます。 ポンプとしての心臓——「送り出す力」と「受け入れる力」 心臓の働きは、大きく2つの局面に分けられます。 収縮期——心臓が収縮して血液を送り出す局面。いわゆる「ポンプ力」が問われる場面です。 拡張期——収縮を終えた心臓が緩み、次の拍動に向けて血液を受け入れる局面。こちらは「戻ってくる力」ではなく、筋肉が柔らかく緩む能力が問われます。 健診の「心臓が丈夫かどうか」という話題では、収縮期の力(駆出率など)に注目が集まりがちです。しかし、加齢によって先に変化が現れやすいのは、実は拡張期の機能のほうだということが、循環器の分野ではよく知られています。 心臓の壁は、加齢とともに硬くなっていく なぜ拡張機能が加齢の影響を受けやすいのでしょうか。 心臓の壁を作る筋肉細胞そのものの性質の変化に加え、細胞と細胞のあいだを埋める結合組織(コラーゲンなど)が加齢とともに増え、心筋がやや硬くなる方向の変化が起こることが指摘されています[1][2]。壁が硬くなれば、収縮を終えたあとに素早く柔らかく緩む能力が落ちます。これが拡張機能の低下です。 さらに、心臓に血液を送り込む動脈の側も変化します。動脈がしなやかさを失うと、心臓はより高い圧に逆らって血液を送り出す必要が生じ、その負荷が心臓の壁の肥厚を招くことがあります[1]。動脈の老化と心臓の老化は、互いに影響し合う一体の現象として捉えられています。動脈のしなやかさそのものについては「血管年齢」とは何かで扱っています。 数字で見る拡張機能の変化——6年半でどれだけ動くか これが感覚的な話にとどまらないことを示す、比較的新しいデータがあります。 米国の地域住民を対象とした大規模な追跡研究(ARIC研究)では、平均74歳の参加者を平均6.6年間追跡し、心エコーで拡張機能の指標を繰り返し測定しました[3]。その結果、心筋が緩む速さを示す指標(e′)はゆるやかに低下し、心臓が血液を受け入れる際の圧を反映する指標(E/e′比)は上昇し、左心房の容積も拡大していたことが報告されています。 もっとも分かりやすいのは、次の数字かもしれません。拡張機能の指標のうち2つ以上が基準から外れていた人の割合は、追跡開始時の17%から、6.6年後には42%に増えていたのです[3]。また、もともと高血圧や糖尿病などの心血管リスクを持っていた人ほど、この変化が大きい傾向も示されました。 これは、多くの人にとって、拡張機能の低下は特別な病気というより、加齢とともに進んでいく連続的な変化であることを示しています。同時に、その進み方には個人差があり、リスク因子の有無が影響することも分かります。 拡張機能の低下が進むと、何が起こるか ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。 拡張機能の低下がある程度進むと、心臓が血液を十分に受け入れられなくなり、肺や体に血液がうっ滞しやすくなります。息切れ、疲れやすさ、足のむくみといった症状は、その現れであることがあります。 こうした状態は、収縮機能(駆出率)は保たれているものの、拡張機能の障害を主体として心不全の症状が生じる病態として知られており、HFpEF(Heart Failure with preserved Ejection Fraction:収縮機能が保たれた心不全)と呼ばれます[2]。名前だけを見ると「保たれている」という言葉が目立ちますが、保たれているのはあくまで駆出率(収縮機能の指標)であり、心臓が血液を受け入れる力そのものは低下しています。症状としては、収縮機能が低下するタイプの心不全と変わりません。 ここで、はっきりお伝えしておきたいことがあります。労作時の息切れや、以前より疲れやすいという変化は、それ自体が心臓(循環器系)あるいは肺(呼吸器系)の異常を示すサインであり、「加齢だから」と自己判断で片づけてよい症状ではありません。 心臓の拡張機能という構造・機能の変化そのものは加齢とともに緩やかに進みますが、それが症状として自覚される場合には、HFpEFを含む心不全や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器の病気など、評価が必要な状態が背景にある可能性を考える必要があります。 もちろん、原因が分かったからといって、全員がただちに強い治療を必要とするわけではありません。原因や重症度によって対応は異なります。ただし、「原因を調べずに、年齢のせいだと判断してしまうこと」自体が、本来避けるべき対応です。次のような場合は特に、早めに循環器内科(呼吸器の症状が主体であれば呼吸器内科)を受診してください。 以前と比べて、明らかに短い期間(数か月単位)で息切れが悪化した 平地を歩くだけで息が切れる、夜間に息苦しさで目が覚める 足やすねのむくみが続く、体重が急に増える 動悸や胸の不快感を伴う 日常で意識できること 心臓の加齢変化そのものを止める方法は確立していませんが、負担を減らす工夫はあります。 血圧を管理する。 高血圧は拡張機能の低下を進める代表的な要因のひとつです。家庭での血圧測定を習慣にしてください。 体重の変化を記録する。 短期間の急な体重増加は、体液の貯留のサインであることがあります。 有酸素運動を習慣にする。 運動習慣は心血管系の機能維持に関わる基本的な要素として広く支持されています。 禁煙・節酒。 いずれも血管・心臓への負担を減らす基本的な対策です。 睡眠時の呼吸を意識する。 いびきや無呼吸を指摘されたことがある方は、心臓への負担という観点からも一度相談されることをおすすめします。 健診の心機能項目を線で見る。 単年の数値だけでなく、数年分の推移を確認することの重要性はアンチエイジングドックとはでも扱っています。 なお、慢性的な精神的ストレスは血圧や自律神経を介して心臓の負担に関わるとされています。ストレスと血圧・コルチゾールの一般的な関係についてはコルチゾールを下げる科学で、末梢のめぐりについては手足の末梢の冷えと血流で扱っています。 「息切れは、それ自体がサインである」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急外来には、「最近、息切れがひどくて」という主訴で来られる高齢の患者さんが、数えきれないほどいらっしゃいました。そのたびに私たちが行っていたのは、「これは年齢のせいかどうか」を判断することではなく、「循環器か、呼吸器か、あるいはその両方か」原因を突き止めることでした。救急・循環器の現場で、息切れという症状を「加齢による自然な変化」として片づけることは基本的にありません。息切れは、心臓か肺、あるいはその両方に何らかの異常が起きていることを示すサインとして扱われます。 実際には、夜、横になると息苦しくて座り直す。靴がきつくなった。体重が数日で急に増えた——ご本人やご家族が「年のせい」で説明のつく、ありふれた変化だと考えて様子を見ておられた方の中に、HFpEFをはじめとする心不全の増悪や、COPDなど呼吸器疾患の進行が隠れていた、という場面を何度も経験してきました。 もちろん、原因が分かったからといって、そのすべてが緊急の治療を要するわけではありません。経過観察や生活の工夫で対応できる場合もあります。しかし、「原因を調べる」というステップを飛ばして、「年齢だから仕方ない」と自己判断してしまうこと——これが、最も避けていただきたい対応です。 だからこそ私は、息切れや疲れやすさを感じたら、「年のせいかどうか」をご自身で判断しようとせず、まず循環器内科(あるいは呼吸器内科)で原因を確認していただくことをお伝えしています。加齢とともに心臓の拡張機能が緩やかに変化していくこと自体は事実ですが、それは診察や検査を経て初めて言えることであり、症状そのものを自己判断で片づけてよい理由にはなりません。 まとめ 心臓の働きは「送り出す力(収縮機能)」と「受け入れて緩む力(拡張機能)」に分けられ、加齢の影響は拡張機能のほうに先に現れやすいことが知られています。心筋の硬化や動脈のしなやかさの低下が背景にあります。 米国の大規模な追跡研究では、平均74歳の参加者を6.6年間追跡した結果、拡張機能の指標が悪化し、2つ以上の指標が基準から外れていた人の割合が17%から42%に増加したことが報告されています。 拡張機能の低下が進むと、息切れ・疲れやすさ・むくみといった症状が現れることがあり、これは収縮機能(駆出率)が保たれた心不全(HFpEF)の症状であることがあります。息切れなどの症状は、それ自体が循環器または呼吸器の異常を示すサインであり、「年のせい」と自己判断せず、循環器内科(呼吸器の症状が主体であれば呼吸器内科)で早めに原因を確認することが重要です。 血圧管理、体重の記録、有酸素運動、禁煙・節酒、睡眠時の呼吸の確認といった日常の工夫が、心臓への負担を減らすことにつながります。 「年のせい」という言葉は、原因を確かめる前に使ってしまうと、本来気づけるはずのサインを隠してしまいます。心臓の拡張機能という構造・機能そのものは加齢とともに緩やかに変化していきますが、息切れなどの症状を感じたときは、その変化を自己判断で片づけず、まず原因を確認することから始めていただければと思います。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、血圧や末梢血流に着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。ただし当院は循環器疾患の診療は行っておらず、心不全をはじめとする心臓病の治療や予防効果を示すものではありません。 息切れやむくみなど気になる症状がある場合は、循環器内科をご受診ください。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 日々の負荷とのつきあい方にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 階段で息が切れやすくなりました。年のせいでしょうか、それとも心臓の病気でしょうか?A. 息切れという症状は、それ自体が心臓(循環器系)や肺(呼吸器系)に何らかの異常があることを示すサインであり、「年のせい」として自己判断で片づけるべきものではありません。ゆっくり進んできたように感じられる場合でも、原因を確認するために一度循環器内科(呼吸器の症状が主体であれば呼吸器内科)を受診することをおすすめします。特に、数か月単位で明らかに悪化した場合、夜間の息苦しさや急な体重増加を伴う場合は、早めの受診が重要です。原因が分かったうえで、経過観察でよいか治療が必要かは医師が判断します。 Q. 心臓の拡張機能が低下しないようにする方法はありますか?A. 拡張機能の低下そのものを確実に防ぐ方法は確立していませんが、血圧の管理、禁煙、有酸素運動の習慣、適正体重の維持といった一般的な心血管の健康管理が、負担を減らす方向にはたらくと考えられています。すでに高血圧や糖尿病がある方は、その管理自体が心臓の保護につながります。かかりつけ医と相談しながら取り組んでいただくのがよいと思います。 Q. 健診の心電図や心エコーで異常なしと言われれば、心臓は安心してよいですか?A. 健診で異常が指摘されないことは前向きな情報ですが、拡張機能の初期の変化は、一般的な健診では詳しく評価されないこともあります。単年の結果だけで安心するのではなく、体調の変化(息切れ・むくみ・疲れやすさ)に注意を払い、気になる変化があれば健診の結果にかかわらず受診することをおすすめします。 参考文献 Lakatta EG, Levy D.「Arterial and cardiac aging: major shareholders in cardiovascular disease enterprises: Part I: aging arteries: a "set up" for vascular disease」(2003年、Circulation, 107(1):139–146)— 動脈の加齢変化が心臓への負荷を高める仕組みを整理した総説。出典 Lakatta EG, Levy D.「Arterial and cardiac aging: major shareholders in cardiovascular disease enterprises: Part II: the aging heart in health: links to heart disease」(2003年、Circulation, 107(2):346–354)— 加齢に伴う心筋の硬化・拡張機能の変化を整理した総説。doi:10.1161/01.CIR.0000048893.62841.F7. 出典 Zhao L, Zierath R, Claggett B, et al.「Longitudinal Changes in Left Ventricular Diastolic Function in Late Life: The ARIC Study」(2023年、JACC: Cardiovascular Imaging, 16(9):1133–1145)— 地域住民を平均6.6年間追跡し、拡張機能の指標(e′・E/e′・左房容積係数)の悪化と、基準外となる割合が17%から42%へ増加したことを報告した縦断研究。doi:10.1016/j.jcmg.2023.02.022. 出典 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と血圧・ストレス指標に関する研究(小規模・予備的な研究であり、心疾患への効果を検討したものではありません)。 ※上記の研究知見は心臓の加齢に関する一般的な理解を示すものであり、個々の方の将来の病気を予測したり、特定の検査・治療による効果を保証したりするものではありません。海外の研究データを日本人にそのまま当てはめることはできません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。当院は循環器疾患の診療は行っておりません。息切れ・むくみ・動悸など気になる症状がある場合は、自己判断せず循環器内科等の医療機関にご相談ください。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。
これまでこのブログでは、肝臓、腎臓、脳、皮膚、目と、臓器をひとつずつ取り上げ、それぞれの老化の仕組みを見てきました。 この記事では、いったん視点を引いて、こう問い直してみます。「あなたの体の中で、いちばん早く老いているのはどの臓器ですか?」 奇妙な質問に聞こえるかもしれません。しかし近年、この問いに数字で答えようとする研究が進んでいます。暦の年齢はひとりにつき一つですが、臓器の老い方は一つではない——それが、この記事でお伝えしたいことです。 血液から、11の臓器の「年齢」を読む 2023年に Nature 誌に発表された研究チーム(スタンフォード大学ら)は、5,000種類以上の血液中のタンパク質を測定し、そのうち特定の臓器で特に多く作られるタンパク質群に注目しました[1]。 たとえば、ある種のタンパク質は主に心臓の組織で作られ、血液中に漏れ出てきます。別のタンパク質は主に脳で作られます。研究チームは、こうした「臓器特異的なタンパク質」の血中パターンから、その臓器がどれだけ加齢の影響を受けているかを推定するモデルを、脳・心臓・腎臓・肝臓・肺など11の臓器それぞれについて構築しました。 そのうえで、同年代の人と比べてその臓器が「実際の年齢より老けているか、若く保たれているか」を示す「臓器年齢ギャップ」という指標を算出しました。プラス方向に大きければ、その臓器は同年代の平均より老化が進んでいる、ということになります。 「多臓器が一気に老いる人」は稀で、「一つの臓器だけ速い人」はありふれている この研究で興味深いのは、老化の現れ方の偏りです。 解析対象となった集団のうち、特定の一つの臓器だけが著しく加齢が進んでいた人は約18%にのぼりました。一方で、複数の臓器で同時に強い加齢が進んでいた「多臓器老化」の人は、わずか1.7%にとどまりました[1]。 つまり、「全身が均等に老いる」というより、「特定の臓器だけが先に老いる」ケースのほうがずっと多いということです。そして、どの臓器が早く老いるかは人によって異なり、腎臓が先に老いる人は代謝性の病気と、心臓が先に老いる人は心臓の病気と、脳が先に老いる人は神経変性疾患と、それぞれ関連していたことも報告されています[1]。 なぜ重要なのか——臓器年齢は、将来の病気と結びついている この指標が単なる数値遊びでないのは、将来の病気のリスクと明確に結びついているためです。 同じ研究では、心臓の老化が強く進んでいた人は、その後の心不全のリスクが約2.5倍高かったことが報告されています[1]。また、脳・血管の老化が進んでいた人では、認知症の代表的なバイオマーカーであるpタウ181に匹敵する精度で、アルツハイマー病の進行を予測できたとされています[1]。 さらに、臓器年齢ギャップが4歳分大きいだけで、その後15年間の追跡において全死亡リスクが15〜50%高くなったことも報告されています[1]。臓器年齢という考え方は、暦年齢だけでは見えない個人差を、実際の健康リスクに結びつけて捉え直す試みだと言えます。 こうした「老化を特徴づける細胞・分子レベルの現象」を機序の側から12に整理した枠組みについては、「老化の12の特徴」とはで扱っています[2]。あちらが機序という縦糸だとすれば、この記事で扱う臓器年齢は臓器という横糸にあたります。 このブログで見てきた「臓器ごとの老い方」 ここまでの臓器シリーズで扱ってきた内容は、この「臓器ごとに老い方が違う」という考え方の具体例そのものでした。 肝臓は沈黙して耐え続ける臓器として、腎臓は予備能が数値を隠す臓器として、脳は部位によって萎縮の速さが違う臓器として、皮膚は内因性老化と光老化が混ざり合う臓器として、目は水晶体と網膜という性質の異なる2つの構造を持つ臓器として、それぞれ違う老い方を見せていました。 臓器年齢という枠組みは、こうした個別の観察を「暦年齢は一つでも、その中身は臓器ごとに違う」という一枚の地図の上に並べ直すものです。次回は、この地図にもう一つのピース——心臓を加えます。あわせて、甲状腺・肺・聴覚・口腔といった臓器についても、順次この視点から取り上げていく予定です。 何ができるか——「測って終わり」ではない段階であることも知っておく ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。 血漿プロテオミクスによる臓器年齢の測定は、現時点では主に研究段階にある技術です。将来的に臨床応用が進む可能性はありますが、2023年の報告時点では、一般の医療機関で日常的に受けられる確立した検査という段階には至っていません。当院でこの臓器年齢測定そのものを提供しているわけではありません。 一方で、「臓器ごとの老い方には差がある」という発想自体は、日常の健診の読み方にも応用できます。肝機能・腎機能・心機能など、健診の項目を臓器別に並べて経年変化を見るという視点は、アンチエイジングドックとはでも扱った「検査で測れること・測れないこと」の話と地続きです。 「元気そうに見える人」の、どの臓器が先に音を上げるかは分からない——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急の現場で繰り返し思い知らされたことがあります。「元気そうに見える」ことと、「どの臓器にも余力がある」ことは、まったく別だということです。 毎日ジョギングをしている、見た目も若々しい、会話もはきはきしている——そういう方が、ある日突然、心不全や腎不全で運ばれてくることがありました。全身の印象からは想像しづらい、特定の臓器だけがひっそりと限界に近づいていた、というケースです。逆に、慢性の持病をいくつも抱えながら、驚くほど安定して長く過ごされる方もいました。 この記事で紹介した研究が示していたのも、似たような構図でした。多くの人にとって老化は、全身が均等に進むものではなく、特定の一つの臓器が先に音を上げる形で訪れる。 そして、どの臓器が先に来るかは、外から見ただけでは分かりません。 だからこそ私は、「元気だから大丈夫」という直感だけに頼らず、臓器ごとに区切って定期的に数値を確認しておくことに意味があると考えています。どの臓器が自分にとっての「弱点」になりうるかは、家族歴や既往、生活習慣によってある程度の見当がつくこともあります。次回以降の臓器シリーズが、そうした見当をつけるための材料になれば、と思っています。 まとめ 2023年に発表された研究では、血液中の臓器特異的なタンパク質のパターンから、脳・心臓・腎臓・肝臓・肺など11の臓器それぞれの「老化の進み具合」を推定するモデルが構築されました。 特定の一つの臓器だけが著しく加齢が進んでいた人は約18%にのぼった一方、複数の臓器で同時に強い加齢が進んでいた人はわずか1.7%でした。老化は全身一律ではなく、特定の臓器に偏って現れることのほうが多いという結果です。 臓器年齢の指標は、将来の病気のリスクと結びついています。心臓の老化が進んでいた人は心不全リスクが約2.5倍、臓器年齢ギャップが4歳大きいだけで15年間の全死亡リスクが15〜50%高いことが報告されています。 この測定技術自体は現時点では主に研究段階であり、当院を含め一般の医療機関で日常的に受けられる検査ではありません。ただし「臓器ごとに老い方が違う」という視点は、日々の健診結果を読み解くうえでも役立つ考え方です。 暦年齢という一つの数字の裏側には、それぞれ違う速さで時を刻む臓器たちがあります。次回からは、この臓器シリーズの続きとして、心臓の老化を取り上げます。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、末梢血流の改善や自律神経のはたらきに着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて全身のめぐりを介して体の土台を支えることを目指しています(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。ただし特定の臓器の老化そのものを止める、または臓器年齢を若返らせる効果を保証するものではありません。 個々の臓器に関する研究知見は、それぞれの臓器を扱った記事内でご紹介しています。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 細胞レベルの若々しさや生物学的年齢にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 自分の「臓器年齢」を調べることはできますか?A. この記事で紹介した血漿プロテオミクスによる臓器年齢測定は、2023年時点では主に研究段階の技術であり、一般の医療機関で広く受けられる確立した検査ではありません。当院でもこの検査そのものは提供しておりません。健診の肝機能・腎機能・心機能などの項目を臓器別に分けて経年で見比べることは、同様の視点を日常的に取り入れる一つの方法です。 Q. 「臓器年齢」が高いと分かったら、その臓器の老化を止められますか?A. 臓器年齢という指標自体は、現状を数値として把握するためのものであり、それ自体が治療法を意味するわけではありません。研究では、心臓の老化が進んでいた場合の心不全リスクなど、将来の病気との関連が示されていますが、特定の介入でその臓器の老化を確実に遅らせられるという段階には至っていません。気になる臓器がある場合は、その臓器に応じた検査や医療機関への相談を優先してください。 Q. すべての臓器が同じように老いていくわけではないのですか?A. はい。この記事で紹介した研究では、複数の臓器が同時に強く老化していた人はわずか1.7%で、多くの人では特定の一つの臓器だけが先に加齢の影響を受けていました。全身が均等に老いるというより、人によって「先に老いる臓器」が異なるというのが、現時点での理解です。 参考文献 Oh HS-H, Rutledge J, Nachun D, et al.「Organ aging signatures in the plasma proteome track health and disease」(2023年、Nature, 624(7990):164–172)— 血漿中の臓器特異的タンパク質から11臓器それぞれの老化の進み具合を推定するモデルを構築し、心臓・脳血管の加齢が心不全リスクやアルツハイマー病進行と関連すること、臓器年齢ギャップが全死亡リスクと関連することを報告した研究。doi:10.1038/s41586-023-06802-1. 出典 López-Otín C, Blasco MA, Partridge L, Serrano M, Kroemer G.「Hallmarks of aging: An expanding universe」(2023年、Cell, 186(2):243–278)— 老化を特徴づける細胞・分子レベルの現象を12に整理した総説。doi:10.1016/j.cell.2022.11.001. 出典 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する研究(小規模・予備的な研究であり、特定臓器の老化そのものへの効果を検討したものではありません)。 ※上記の研究知見は臓器ごとの老化の進み方に関する一般的な理解を示すものであり、個々の方の将来の病気を予測したり、特定の検査・治療による効果を保証したりするものではありません。血漿プロテオミクスによる臓器年齢測定は主に研究段階の技術であり、当院を含め一般の医療機関で広く提供されている検査ではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。特定の臓器の不調や症状が続く場合は、自己判断をせず医療機関にご相談ください。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。
会議の途中で、突然、胸から首、顔にかけて熱が駆け上がる。数分で汗が出て、引いたあとは逆に寒い。 「体質」「気のせい」「気合いの問題」——そんなふうに言われてきた症状です。実際には、体温調節の仕組みが誤作動している現象として、かなり具体的に説明されています。 この記事では、ほてり・のぼせという症状を、「熱を捨てる反応が、起きなくていい場面で起動している」というひとつの枠組みで整理します。そして後半では、更年期以外の原因——見落とされやすく、中には急を要するものも含まれます——について、救急医としての経験からお伝えします。 なお当院は婦人科診療を行っておらず、更年期障害の診断・治療についてはご案内しておりません。 そもそも、体は何をしているのか まず、正常な仕組みから確認します。 人間の体は、深部の体温を狭い範囲に保とうとしています。熱が余れば皮膚の血管を広げて熱を逃がし、汗をかいて気化熱で冷やす。足りなければ血管を縮め、ふるえて熱を作る。 このとき、「汗をかき始める温度」と「ふるえ始める温度」のあいだには、どちらも起こらない幅があります。これを熱中性域(thermoneutral zone)と呼びます。平時はこの幅が十分にあるので、少し暑い・少し寒い程度では何も起きません。 ほてり・のぼせは、この仕組みの誤作動です。熱を捨てる反応——皮膚血管の拡張と発汗——が、本来なら必要のない場面で、しかも一気に起動する。 だから「熱い」と感じ、汗が出て、そのあと体温が下がりすぎて寒くなります。 医学的には血管運動神経症状(vasomotor symptoms)と呼ばれます。「血管の動きをつかさどる神経の症状」という意味です。 なぜ、引き金が過敏になるのか ここが核心です。 体温調節の研究から提示されているのは、熱中性域が極端に狭くなっているという説明です。ほてりを起こしやすい状態では、汗をかき始める閾値とふるえ始める閾値の幅が大きく縮まっており、ごくわずかな深部体温の上昇で、発汗と血管拡張のスイッチが入ってしまうと報告されています[1]。 つまり、体温が異常に高くなっているわけではありません。反応する基準のほうが狭くなっている。 温度計が壊れているのではなく、警報の設定がシビアになりすぎている状態だと考えるとわかりやすいと思います。 そして同じ研究で、この狭まりには中枢の交感神経活動の亢進(α2アドレナリン受容体を介した経路)が関わると指摘されています[1]。だから、環境温を下げること、そして中枢の交感神経活動を落とす方向の対処(ゆっくりした呼吸など)が症状をやわらげ得る、という整理になります。自律神経の全般的な背景については自律神経の乱れを整えるでも扱っています。 エストロゲンの低下「だけ」では説明しきれない 一般には「女性ホルモンが減るから」と説明されます。これは大筋では合っています。エストロゲンの低下は、たしかに大きな要因です(ホルモンの加齢変化そのものについてはエストロゲンと女性の加齢で扱っています)。 ただ、先ほどの体温調節の研究は、熱中性域の狭まりはエストロゲンの低下によるものだけではないとも述べています[1]。ホルモン値と症状の強さがきれいに対応しないことは、以前から知られていました。 そこで注目されているのが、視床下部のKNDyニューロンと呼ばれる神経細胞群です。閉経後の女性では、この細胞群に著明な変化が起こることが知られており、これが体温調節中枢に働きかけてほてりを引き起こしているのではないかという仮説が提示されています[2]。動物実験では、この経路に関わる受容体を刺激すると体温が下がることも示されています。 まだ検証が続いている領域です。 ただ、この方向の研究が意味しているのは、ほてりが「ホルモンが減ったことの直接の結果」というより、中枢の温度調節システムが再設定されてしまった結果だということです。 ここは、患者さんにとっても実務的な意味があります。「ホルモンの問題だから、根性や生活習慣で何とかなるものではない」ということが、機序の側から裏づけられるからです。 どのくらい続くのか——「一時的」とは限らない 「そのうち終わる」と言われて、終わらないことに戸惑う方が少なくありません。 米国の大規模な追跡研究(SWAN)は、3,302人の女性を1996年から2013年まで追いかけ、頻回の血管運動神経症状の持続期間を調べました。結果は、症状の持続期間の中央値が7.4年。半数以上の女性で7年を超え、最終月経から後だけでも平均4.5年続いていました[3]。 この数字は、実務上とても重要だと思っています。「数か月の我慢」という前提で組み立てた対処は、たいてい持ちません。 数年単位で付き合う可能性を織り込んだほうが、結果として楽になります。 同じ研究では、症状が早く始まった人ほど長く続く傾向も示されています。 日本での見え方——言葉と、頻度の違い ここは日本の読者にとって見落とされがちな点です。 SWANの人種・民族別の解析では、血管運動神経症状の報告率はアフリカ系で最も高く、アジア系で最も低い傾向が、閉経移行期のほとんどの段階で見られました[4]。 日本国内の調査でも、日本での血管運動神経症状の報告は過去20年で増えてはいるものの、多くの欧米集団より依然として低いと報告されています。同じ研究は、日本語には「のぼせ」「ほてり」「かっかする」などほてりを表す言葉が複数あり、それぞれ指す内容が少しずつ違うことも指摘しています[5]。 つまり、同じ現象を測っているようで、実は測っている言葉が違う可能性がある。これは疫学の難しさであると同時に、診察室でも起きることです。「のぼせますか」と聞くのと「顔がかっと熱くなることはありますか」と聞くのとで、返ってくる答えが変わります。 ご自身の症状を伝えるときは、「どこが」「どのくらいの時間」「汗を伴うか」「引いたあと寒くなるか」を具体的に言葉にしていただくと、伝わりやすくなります。 「冷えのぼせ」という組み合わせ 上半身はほてるのに、足先は冷たい。この組み合わせは珍しくありません。 矛盾しているようですが、仕組みからは説明がつきます。熱を捨てる反応は主に顔・首・胸といった体幹上部の皮膚で起こります。一方、手足の末梢は交感神経の緊張の影響を受けやすく、収縮したままになり得る。 つまり、同じ体の中で「熱を捨てている場所」と「熱を出し渋っている場所」が同居するわけです。末梢の冷えについては手足の冷えはなぜ起こる?、平熱そのものの話はなぜ平熱が上がらないのかで扱っています。 更年期以外の「ほてり」——見落とされやすい原因 ここが、この記事でとくにお伝えしたい部分です。 ほてり・のぼせは更年期の代表的な症状ですが、同じ症状は更年期以外でも起こります。 年齢が当てはまるからといって、すべてを更年期に帰してしまうと、対処できるものを見逃すことがあります。 主なものを挙げます。 甲状腺機能の亢進——暑がり、汗が多い、動悸、体重減少、手のふるえを伴うことがあります。血液検査で確認できます。 薬剤によるもの——一部の降圧薬(血管拡張作用のあるもの)、ニコチン酸を含む製剤、ホルモン関連の治療薬などで顔面紅潮が起こることが知られています。男性でも、前立腺がんのホルモン療法ではほてりが高頻度で生じます。 アルコール——日本人に多いアセトアルデヒド代謝の体質差により、少量でも顔面紅潮・動悸が起こります。 低血糖——冷汗、動悸、手のふるえ、空腹感。糖尿病の治療中の方ではとくに重要です。 感染症・発熱の初期——「熱く感じる」が実際に体温が上がっている場合です。 不安発作(パニック発作)——動悸、息苦しさ、発汗を伴う短時間の発作。 まれな内分泌の病気——カルチノイド症候群や褐色細胞腫など。頻度は低いものの、ほてりに加えて下痢や高血圧発作などを伴うことがあります。 男性の場合、加齢に伴うテストステロンの低下でもほてりや発汗が生じ得ます。この点は男性更年期(LOH)とはで扱っています。 次のような場合は、更年期と決めつけずに医療機関でご相談ください。 体重が減っている、動悸が続く、手がふるえる 発熱、体重減少、夜間の大量の寝汗が続く 新しい薬を始めてから症状が出た 顔面紅潮とともに、血圧が大きく変動する/下痢がある 意識が遠のく、じんましんや息苦しさを伴う(この場合は緊急です) 日常で意識できること 環境温を先回りで下げる。 熱中性域が狭くなっている以上、深部体温をわずかでも上げない工夫が直接効きます。室温、服装のレイヤー化、寝具の調整。 ゆっくりした呼吸を習慣にする。 中枢の交感神経活動を落とす方向の対処が症状をやわらげ得ることが示されています[1]。特別な器具は要りません。 引き金を記録する。 熱い飲み物、香辛料、アルコール、カフェイン、緊張する場面。人によって引き金は違います。1〜2週間、時刻と状況をメモするだけで、避けられるものと避けられないものが分かれます。記録から始めるという考え方は月経前の不調(PMS)でも扱いました。 睡眠を守る。 夜間のほてり(寝汗)は睡眠を分断し、日中の不調を増幅します。逆に睡眠不足は交感神経活動を高めます。睡眠の質の回でも触れた悪循環です。 「治療の選択肢がある」ことを知っておく。 ホルモン補充療法、漢方、非ホルモン薬など、婦人科で相談できる選択肢があります。適応や可否は個々の状態によって異なるため、当院から特定の治療をおすすめすることはいたしません。婦人科でご相談ください。 「顔が赤い」は、ときに急を要するサイン——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急の現場では、「顔が赤い」「急に熱くなった」という訴えを、まったく違う可能性の束として扱います。 真っ先に除外するのはアナフィラキシーです。皮膚が紅潮して、じんましんが出て、息苦しさが加わる——この組み合わせは分単位で進行します。次に低血糖。冷汗と動悸を伴う紅潮は、血糖値を測れば数十秒で答えが出ます。そして感染の初期、薬剤の影響、アルコール。 救急医が何をしているかというと、「その紅潮が、ひとりで起きているのか、他の異常と一緒に起きているのか」を見ています。血圧、脈拍、酸素飽和度、体温、意識——バイタルサインが一緒に動いているかどうか。動いていれば急を要し、動いていなければ時間をかけて原因を探せる。 この見方は、いまも変わっていません。ほてり・のぼせのご相談を受けたとき、私はまず「単独で起きているか、何かを連れているか」を確認します。単独であれば、多くは体温調節の話として落ち着いて扱えます。何かを連れていれば、そちらが本体かもしれない。 そしてもうひとつ。救急外来で、長く続く寝汗と体重減少をご本人が「更年期だと思っていた」とおっしゃる場面に、何度か立ち会いました。症状を説明できる物語があると、人はそこで探すのをやめてしまう。 更年期という説明はとてもよくできているだけに、そこに当てはめて安心してしまうことがあります。 説明がつくことと、確認したことは別です。一度確認しておく——それだけで、多くのものが整理されます。 まとめ ほてり・のぼせは、皮膚血管の拡張と発汗という「熱を捨てる反応」が、必要のない場面で急に起動する現象で、血管運動神経症状と呼ばれます。体温が異常に高いのではなく、反応する基準のほうが狭くなっている状態です。 体温調節の研究では、汗をかき始める閾値とふるえ始める閾値のあいだの幅(熱中性域)が大きく狭まっており、わずかな深部体温の上昇で反応が起動すると報告されています。この狭まりには中枢の交感神経活動の亢進が関わるとされています。 エストロゲンの低下は大きな要因ですが、それだけでは説明しきれないことも指摘されています。視床下部のKNDyニューロンが体温調節中枢に働きかけているという仮説が提示され、検証が続いています。 米国の大規模追跡研究では、頻回の血管運動神経症状の持続期間は中央値7.4年、最終月経後だけでも平均4.5年でした。「数か月で終わる」という前提で組み立てた対処は持たない可能性があります。 報告率には人種・民族差があり、アジア系では相対的に低い傾向が示されています。日本では「のぼせ」「ほてり」など複数の言葉が使われ、それぞれ指す内容が少しずつ異なることも指摘されています。 更年期以外にも、甲状腺機能の亢進、薬剤、アルコール、低血糖、感染、不安発作、まれな内分泌疾患など、同じ症状を起こす原因があります。体重減少・動悸・手のふるえ・夜間の大量の寝汗などを伴う場合は、更年期と決めつけずにご相談ください。 「歳のせい」で片づける前に、一度確認する。 ほてり・のぼせに関して、いちばんお伝えしたいのはこの一点です。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、慢性的なストレスと末梢の血流という土台の部分に着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体を整えることを目指しています。皮下温度やストレス関連の指標に関する予備的な研究は報告されていますが[6]、これらは小規模な研究であり、ほてり・のぼせや更年期症状に対する効果を示すものではありません(当院は婦人科診療を行っておりません。研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 細胞レベルの若々しさや生物学的年齢にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. ほてり・のぼせは、何科に相談すればよいですか。 A. 月経の状況に関連していそうな場合や、年齢的に更年期が考えられる場合は、まず婦人科が相談先になります。一方で、体重減少・動悸・手のふるえ・のどの腫れなどを伴う場合は内科(内分泌内科)、新しく始めた薬のあとから出た場合は処方元の医療機関が適しています。判断に迷う場合は、かかりつけ医や一般内科でご相談いただければ、必要に応じて適切な科へつないでもらえます。 Q. ほてりが続くのは、体に悪いことが起きているサインでしょうか。 A. ほてりそのものは体温調節の反応であり、それ自体が体を傷めるというものではありません。ただし、夜間のほてりで睡眠が分断されると、日中の疲労感や集中力の低下につながることがあります。また、ほてりに加えて体重の変化や動悸など他の症状がある場合は、別の背景を確認しておく意味があります。症状が生活に影響している場合は、我慢の対象とせず医療機関にご相談ください。 Q. サプリメントや市販の健康食品で改善しますか。 A. この領域にはさまざまな製品がありますが、当院は特定の製品をおすすめする立場にありません。また、ご自身が服用している薬との相互作用や、既往によって避けたほうがよいものもあります。摂取を検討される場合は、婦人科やかかりつけ医、薬剤師に、現在の薬と合わせてご相談いただくのが確実です。ご紹介した研究から言える範囲では、環境温の調整・引き金の記録・呼吸の整えといった、費用のかからない対処には機序の裏づけがあります。 参考文献 Freedman RR.「Menopausal hot flashes: mechanisms, endocrinology, treatment」(2014年、Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology, 142:115–120)— ほてりが、大きく狭まった熱中性域の中でわずかな深部体温上昇により引き起こされること、その狭まりにエストロゲン低下だけでなく中枢の交感神経活動の亢進(α2アドレナリン受容体を介する)が関与すること、環境の冷却やゆっくりした呼吸が症状を軽減し得ることを整理した総説。doi:10.1016/j.jsbmb.2013.08.010. 出典 Rance NE, Dacks PA, Mittelman-Smith MA, Romanovsky AA, Krajewski-Hall SJ.「Modulation of body temperature and LH secretion by hypothalamic KNDy (kisspeptin, neurokinin B and dynorphin) neurons: A novel hypothesis on the mechanism of hot flushes」(2013年、Frontiers in Neuroendocrinology, 34(3):211–227)— 閉経後に視床下部のKNDyニューロンに生じる変化が、体温調節領域への投射を通じてほてりを引き起こすという仮説を提示した総説。doi:10.1016/j.yfrne.2013.07.003. 出典 Avis NE, Crawford SL, Greendale G, Bromberger JT, Everson-Rose SA, Gold EB, Hess R, Joffe H, Kravitz HM, Tepper PG, Thurston RC (Study of Women's Health Across the Nation).「Duration of menopausal vasomotor symptoms over the menopause transition」(2015年、JAMA Internal Medicine, 175(4):531–539)— 3,302人を1996年から2013年まで追跡し、頻回の血管運動神経症状の持続期間が中央値7.4年、最終月経後は平均4.5年であったと報告した研究。doi:10.1001/jamainternmed.2014.8063. 出典 Gold EB, Colvin A, Avis N, Bromberger J, Greendale GA, Powell L, Sternfeld B, Matthews K.「Longitudinal analysis of the association between vasomotor symptoms and race/ethnicity across the menopausal transition: Study of Women's Health Across the Nation」(2006年、American Journal of Public Health, 96(7):1226–1235)— 3,198人の追跡から、血管運動神経症状の報告率がアフリカ系で最も高く、アジア系で最も低い傾向にあることを示した研究。doi:10.2105/AJPH.2005.066936. 出典 Melby MK.「Vasomotor symptom prevalence and language of menopause in Japan」(2005年、Menopause, 12:250–257)— 京都府・福島県の45〜55歳の女性を対象に、日本における血管運動神経症状の報告率が欧米の多くの集団より低いこと、日本語のほてりを表す複数の語が指す内容が異なることを示した研究。出典 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する研究(小規模・予備的な研究であり、ほてり・のぼせや更年期症状に対する効果を検討したものではありません)。 ※上記の研究知見はほてり・のぼせに関する一般的な理解を示すものであり、特定の検査・治療・サプリメント・製品による効果を保証するものではありません。海外で行われた研究の結果を日本の環境にそのまま当てはめられるわけではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。当院は婦人科診療を提供しておりません。ほてり・のぼせが続く場合や、体重の変化・動悸・発熱・大量の寝汗などを伴う場合は、婦人科・内科等の医療機関にご相談ください。じんましんや息苦しさを伴う顔面紅潮は緊急性があることがあります。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。