The Hidden Cause
このような不調はありませんか?
常に「闘争・逃走反応」が働き、リラックスできない状態。血管が収縮し、全身の血流が遮断されています。
高血圧や血糖値の上昇。
「薬を飲んでいるから大丈夫」と、根本原因を放置していませんか?
脳への血流不足(酸欠)は「ブレイン・フォグ」を招き、経営判断に必要な直感力や決断力を奪います。
About Stress-Free Therapy
当院は「ストレスフリー療法」を提供しています。
ストレスフリー療法とは、身体の6点に心地よい赤外線刺激を与える、独自の温熱アプローチです。
特許取得済みの精密な温度制御により、効率よく血行を促進。副作用のリスクを抑え、日常のストレスで緊張した心身を優しく解きほぐします。
48℃未満の心地よい刺激が、効率的に血流を促し、深いリラックス状態へと導きます。銀座の落ち着いた空間で、身体への負担を抑えた科学的なアプローチをご提供します。



ストレスフリー療法は、独自の温熱周波数により深部体温を上げ、自律神経に直接アプローチする方法です。ただ温めるだけではない、3つの生理学的反応を引き起こします。
心地よい温熱刺激で身体を芯から温め、滞りがちな血行を促進して、冷えによる悩みや毎日のコンディションを整えます。
独自の温熱リズムが日々のストレスで張り詰めた心身の緊張を優しくほぐし、深いリラックス状態へと導きます。
患部や特定のポイントを温めることで、日頃の活動で蓄積した筋肉の疲れを和らげ、身体のこりを健やかにほぐします。
Our Strengths
| ストレスフリー療法 | 再生療法 | 高級スパ・整体 | |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 血流・神経(根本改善) | 細胞レベル | 筋肉・表層 |
| リスク | 極小 | 身体的負担あり | ほぼなし |
| 心理的面 | 日常的なメンテナンス | 最後の一手 | ご褒美・癒やし |
STRENGTHS
Treatment Guidelines
現代社会のストレスフルな環境にさらされ続けることで慢性的に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモンの一つ)の低下を促し、体の不調の根本原因へのアプローチを目指す。
全身の血流量の増幅を促し、体内の37兆個の細胞一つ一つをくまなく活性化し、自己治癒力を最大限引き出すことを目指す。
加齢とともに減少する成長ホルモンの体内からの分泌力を再生し、代謝・免疫・認知機能の復調を目指す。
エストロゲン・テストステロンといった性ホルモンの体内からの分泌を促し、血管・脳・骨・筋肉・皮膚へのホルモン本来の保護作用の復活を目指す。
抗炎症サイトカインであるIL-10の産生を促し、老化の原因である慢性炎症をはじめとする体内の炎症の駆逐を目指す。
体内の1京個のミトコンドリアの機能の正常化を促し、活性酸素の発生を減じ、炎症性老化の抑制を目指す。
複合的・総合的なアプローチの積み重ねにより、テロメアの短縮抑制や細胞の老化時計を巻き戻すことで、遺伝子レベルでの生物学的年齢の若返りの実現を目指す。
Treatment Guidelines
MASSAGE

東日本大震災をきっかけに、厳しい寒さの中で人が置かれる身体的負担と向き合い、体温や代謝が生命活動に与える影響を深く見つめ直しました。
そこから、身体に過度な負担をかけないケアの研究が始まりました。
生命倫理委員会の指針に基づき、独自の呼吸法と温熱刺激による心身への影響を科学的に検証。
最小限の刺激で深いリラックスをもたらす、科学的根拠に基づいた温熱療法を、銀座から丁寧に提供してまいります。
KENJI RYOTOKUZI
了徳寺 健二

ストレスフリー療法と出会い、その効果に強い可能性を感じました。
身体への負担を抑えながら、本来の状態へと整えていく——その考え方に深く共感しています。
この療法を、必要としている方にきちんと届けたい。
その想いから、2023年4月より銀座数寄屋橋クリニックにて、
ストレスフリー療法に特化した診療を行っています。
日々忙しく、自身のケアが後回しになりがちな方こそ、
安心して身を委ねられる時間と環境を大切にしたい。
銀座という場所から、誠実な医療のかたちを提供してまいります。
TAKUNORI SATO
佐藤 琢紀

Clinic Information/Access
〒104-0061
東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル7F

Blog
健康診断の結果表で、腎機能の欄はたいてい一行か二行です。クレアチニン、そしてeGFR(推算糸球体ろ過量)。数字が基準の内側にあれば、そこで話は終わります。 けれども腎臓は、症状がほとんど出ないまま静かに変化していく臓器です。しかも、その変化は思いのほか早い時期から始まっています。 この記事では、腎臓という臓器が加齢とともにどう変わっていくのか、そして「クレアチニンが正常」という言葉が何を意味し、何を意味しないのかを整理します。 腎臓は、実は「血管の臓器」である 腎臓というと「おしっこを作るところ」というイメージが一般的だと思います。それは間違いではありませんが、構造から見ると腎臓はむしろ血管の塊です。 腎臓の中には、糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる毛細血管の毛玉のような装置が、片側に約100万個ずつ入っています。この糸球体と、それに続く尿細管がひと組になったものをネフロンと呼び、これが腎臓の機能単位です。 心臓から送り出される血液のおよそ4分の1が、この小さな臓器に流れ込みます。全身の血液は一日に何十回もここを通過し、そのたびにろ過され、必要なものが回収され、不要なものが尿へと送られていきます。 つまり腎臓は、全身のめぐりの状態がそのまま反映される場所でもあります。血管がしなやかさを失えば、その影響は腎臓の中の細い血管にも及びます。血管全体の加齢については「血管年齢」とは何かで、微小循環そのものについては「ゴースト血管」と若返りで扱っていますので、あわせてご覧ください。 加齢とともに、腎臓に何が起きているのか ネフロンの数が減っていく もっとも大きな変化は、機能しているネフロンの数が減ることです。 健康な腎提供者(生体腎移植のドナー)を対象とした研究では、若い年齢層と高い年齢層を比べたとき、硬化していない(=働いている)糸球体の数がおよそ半分にまで減っていたことが報告されています[1]。一方で、腎皮質の容積の減り方はそれよりずっと小さく、また生検で見つかる「硬化した糸球体」の割合の増加も、数の減少を説明しきるほどではありませんでした。 これは何を意味するでしょうか。失われたネフロンの多くは、硬化した姿を残すことすらなく消えていき、残ったネフロンが大きくなって仕事を肩代わりしている、という理解が現在では有力です[2]。 つまり腎臓は、頭数を減らしながら、残ったメンバーの残業でつじつまを合わせている——そんなイメージに近いと言えます。 組織そのものが硬くなっていく 顕微鏡のレベルでも変化は進みます。細い動脈の壁が厚くなる(動脈硬化・細動脈硬化)、糸球体が硬化する、尿細管が萎縮して間質に線維がたまる——これらをまとめて腎硬化(ネフロスクレローシス)と呼びます[2][3]。 高齢になるほどこの所見の頻度は上がりますが、注意したいのは、これらが病気の人だけに見られる変化ではないという点です。腎臓の病気がなく、血圧も正常な方の腎臓にも、加齢に伴って一定の割合で観察されます[3]。 こうした変化は、老化研究で整理されてきた細胞・分子レベルの現象——ゲノムの損傷、細胞老化、軽度の慢性炎症など——と重なる部分があります。その全体像については「老化の12の特徴」とはでくわしく解説しています。 ろ過の能力は、ゆっくり、しかし着実に下がる 機能の面ではどうでしょうか。 長期にわたって同じ方々を追いかけたアメリカの縦断研究では、腎臓や尿路の病気がなく、降圧薬や利尿薬も使っていない方々の平均で、クレアチニンクリアランス(ろ過能力の指標)が1年あたり約0.75 mL/分ずつ低下していたと報告されています[4]。10年で7〜8 mL/分ほどの計算です。 ただし、この研究がもう一つ示していることのほうが、私は大切だと考えています。それは、追跡された方の3分の1では、機能の絶対的な低下が認められなかったという点です[4]。腎機能の低下速度には、かなり大きな個人差があるということです。 「歳をとれば一律に落ちる」のではなく、「平均するとゆっくり落ちるが、人によってかなり違う」——これが実態に近い姿です。 「クレアチニンが正常」の落とし穴 ここからが、健診結果を見るときにいちばん知っておいていただきたい部分です。 腎臓には大きな予備がある 腎臓は、機能のかなりの部分を失うまで血液検査に変化が出にくい臓器です。残ったネフロンが一つあたりのろ過量を増やして補うため、全体としてのろ過量はしばらく維持されてしまうからです[2]。 これは腎臓の優秀さの表れであると同時に、気づいたときには相当進んでいるという性質でもあります。肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるのと似た構図で、この点については沈黙の臓器・肝臓は老いるのかでも扱っています。 クレアチニンは「筋肉の量」に左右される もう一つ、見落とされやすい点があります。 クレアチニンは、筋肉の中の物質が分解されてできる老廃物です。したがって血液中のクレアチニン値は、腎臓のろ過能力だけでなく、その人がどれだけ筋肉を持っているかにも左右されます。 日本人向けのeGFR推算式も、クレアチニン値に年齢と性別を組み合わせて計算する形になっています[5]。年齢による筋肉量の平均的な変化はある程度織り込まれていますが、個人差までは織り込めません。 そのため、筋肉量が平均より少ない方では、クレアチニンが低く出るぶん、腎機能が実際より良く見積もられる可能性があります。加齢に伴う筋肉量の減少についてはサルコペニアでくわしく扱っています。 この問題を補うために用いられるのが、シスタチンCという指標です。これは体内のほとんどの細胞から一定のペースで産生される小さなタンパク質で、筋肉量の影響を受けにくいという特徴があります。日本人を対象としたシスタチンCによるeGFR推算式も報告されており[6]、必要に応じて臨床で用いられています。 検査値が「何を測っていて、何を測っていないのか」という視点は、腎臓に限らず大切です。この考え方についてはアンチエイジングドックとはでも整理しています。 腎臓の老化は、腎臓だけの話ではない 腎臓の機能が下がると、影響は腎臓の外へ広がっていきます。 血圧との双方向の関係があります。腎臓は体液量とホルモン(レニン・アンジオテンシン系)を通じて血圧の調節に深く関わっており、腎機能が下がれば血圧は上がりやすくなります。そして高い血圧は、腎臓の中の細い血管をさらに傷めます。どちらが先とも言いにくい循環です。 体液のバランスにも関わります。水分やナトリウムの調節の幅が狭くなるため、暑い日に脱水になりやすく、逆に水分や塩分が多いとむくみやすくもなります。むくみそのものの仕組みについては夕方の脚のむくみはなぜ起こる?で扱っています。 慢性炎症とも関係します。腎機能の低下は、体内にくすぶるような炎症を伴いやすいことが知られています。この「インフラメイジング」という考え方については慢性炎症と老化をご覧ください。 また、糖が過剰な状態が続くと、タンパク質と糖が結びついて生じる物質が腎臓の組織にも影響することが指摘されています。この仕組みについては糖化と老化で解説しています。 腎臓のために、日常で意識できること 医学的に確立している範囲で、一般的に言えることを整理します。いずれも治療ではなく、日々の生活の中で意識できる基本的な事柄です。 血圧を把握しておく。 腎臓と血圧は互いに影響し合います。家庭で測る習慣は、変化に早く気づく助けになります。 脱水を避ける。 特に夏場や発熱時、下痢のときなど。高齢になるほど「のどの渇き」の感覚が鈍くなることが知られています。 市販の鎮痛薬を常用しない。 一部の解熱鎮痛薬は腎臓の血流に影響することがあります。長期に飲み続ける必要があると感じたら、自己判断ではなく主治医にご相談ください。 血糖と脂質にも目を向ける。 腎臓の細い血管は、全身の血管の状態と切り離せません。 検査値を「点」ではなく「線」で見る。 一度の数字より、数年分の推移のほうが多くを語ります。過去の健診結果は捨てずに残しておかれることをおすすめします。 なお、日本国内の診療の考え方は、日本腎臓学会による診療ガイドラインに整理されています[7]。すでに腎機能の低下を指摘されている方は、その指摘をされた医療機関でのフォローを続けていただくことがなにより大切です。 「腎臓は、失ってから戻らない」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急の現場で腎臓について繰り返し考えさせられたのは、この臓器が驚くほど我慢強く、そして我慢の限界を超えたときには戻りにくいということでした。 夏場に運ばれてくる脱水の高齢の方。ご本人は「少し食欲がなかっただけ」とおっしゃる。しかし採血をすると腎機能の数値が跳ね上がっている。点滴で水分を入れれば多くは戻りますが、戻りきらない方も一定数おられます。もともと持っていた予備の部分を、その一度で削ってしまうことがあるのです。 肝臓について、私は以前「機能をまとめて肩代わりする手段がない」と書きました。腎臓には透析という手段があります。その意味で、腎臓は肝臓より恵まれていると言えるかもしれません。 しかし、透析は失われた機能を肩代わりする装置であって、腎臓が戻ってくるわけではありません。週に何度も、何時間もかけて機械につながる生活が始まる。それは救命という意味では大きな進歩ですが、失った臓器が返ってくることとは違います。 だから私は、腎臓については「まだ何も起きていないうちに、変化の速度を知っておくこと」が特に大切だと考えています。腎臓は、痛みも違和感も出さないまま静かに数を減らしていきます。そして減ったネフロンは、増えません。 症状を待つのではなく、数字の推移を見ておく。地味ですが、腎臓に関してはこれがもっとも現実的な向き合い方だと思っています。 まとめ 腎臓は毛細血管の塊のような臓器で、心臓から送り出される血液のおよそ4分の1が流れ込みます。全身のめぐりの状態が、そのまま反映されやすい場所です。 加齢とともに、機能しているネフロン(腎臓のろ過装置)の数は減っていきます。健康な方を対象とした研究でも、若い年齢層と高い年齢層では働いている糸球体の数に大きな差があることが報告されています。残ったネフロンが仕事を肩代わりするため、検査値には表れにくいという性質があります。 ろ過能力は平均するとゆっくり低下しますが、その速度には大きな個人差があります。また、クレアチニンは筋肉量の影響を受けるため、「正常値だから腎臓は大丈夫」とは限りません。一度の数字ではなく、数年分の推移で見ることが大切です。 腎臓の老化は、症状としてはほとんど何も語ってくれません。だからこそ、健診の結果を毎年並べて眺めるという地味な作業が、この臓器に対しては意外なほど有効です。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、全身のめぐりと自律神経のバランスという土台の部分に着目しながら、体の状態を支えることを目指しています(末梢の血流や血圧に関する予備的な研究知見にもとづくもので[8]、はたらき方や結果には個人差があり、腎機能そのものへの効果を示すものではありません。費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 体のめぐりや生物学的な年齢にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. eGFRが少し下がっていると言われました。年齢のせいでしょうか、それとも病気でしょうか。 A. その区別は、実は専門家の間でも議論が続いているところです。加齢そのものによる低下と、病気としての慢性腎臓病をどこで線引きするかについては定まった答えがなく、年齢に応じた基準を設けるべきだという意見もあります[3]。大切なのは、一度の数値ではなく推移と、尿検査(尿タンパク・尿潜血)などの他の情報とあわせて評価することです。指摘を受けた医療機関で、まずはご相談ください。 Q. 水をたくさん飲めば腎臓は守れますか? A. 脱水を避けることは大切ですが、「たくさん飲むほど良い」という単純な話ではありません。心臓の機能や、すでに腎機能が低下している状態によっては、水分の摂りすぎがかえって負担になることもあります。適切な量は状態によって異なりますので、持病のある方は主治医にご確認ください。 Q. 腎機能は回復することがありますか? A. 脱水や薬剤の影響など、原因がはっきりしていて短期間で起きた低下であれば、その原因が取り除かれることで戻る場合があります。一方、長い年月をかけて失われたネフロンそのものが再び増えるという現象は、現在のところ人間では確認されていません。だからこそ、変化の速度を早めに把握しておくことに意味があると考えています。 参考文献 Denic A, Lieske JC, Chakkera HA, Poggio ED, Alexander MP, Singh P, et al.「The Substantial Loss of Nephrons in Healthy Human Kidneys with Aging」(2017年、Journal of the American Society of Nephrology, 28(1):313–320)— 健康な腎提供者1,638名を対象に、加齢に伴い硬化していない糸球体の数が大きく減少することを示した研究。doi:10.1681/ASN.2016020154. 出典 Denic A, Glassock RJ, Rule AD.「Structural and Functional Changes With the Aging Kidney」(2016年、Advances in Chronic Kidney Disease, 23(1):19–28)— 加齢に伴う腎臓の微小構造・肉眼的構造の変化(腎硬化、皮質容積の減少、代償性肥大など)を整理した総説。doi:10.1053/j.ackd.2015.08.004. 出典 Hommos MS, Glassock RJ, Rule AD.「Structural and Functional Changes in Human Kidneys with Healthy Aging」(2017年、Journal of the American Society of Nephrology, 28(10):2838–2844)— 健康な加齢に伴う腎臓の構造・機能の変化と、加齢と慢性腎臓病の線引きに関する議論を整理した総説。doi:10.1681/ASN.2017040421. 出典 Lindeman RD, Tobin J, Shock NW.「Longitudinal Studies on the Rate of Decline in Renal Function with Age」(1985年、Journal of the American Geriatrics Society, 33(4):278–285)— ボルチモア加齢縦断研究にもとづき、腎機能の平均的な低下速度と大きな個人差を示した古典的な縦断研究。doi:10.1111/j.1532-5415.1985.tb07117.x. 出典 Matsuo S, Imai E, Horio M, Yasuda Y, Tomita K, Nitta K, et al.「Revised Equations for Estimated GFR From Serum Creatinine in Japan」(2009年、American Journal of Kidney Diseases, 53(6):982–992)— 日本人向けの血清クレアチニンによるeGFR推算式を報告した研究。doi:10.1053/j.ajkd.2008.12.034. 出典 Horio M, Imai E, Yasuda Y, Watanabe T, Matsuo S.「GFR Estimation Using Standardized Serum Cystatin C in Japan」(2013年、American Journal of Kidney Diseases, 61(2):197–203)— 標準化されたシスタチンCにもとづく日本人向けGFR推算式を報告した研究。doi:10.1053/j.ajkd.2012.07.007. 出典 日本腎臓学会 編『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』(東京医学社、2023年)— 日本国内における慢性腎臓病の診療指針。 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する予備的な研究。 ※上記の研究知見は腎臓の加齢に関する現時点での整理を示すものであり、特定の治療による効果や若返りを保証するものではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、腎機能そのものを対象とした研究ではありません。はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。自由診療の費用は全額自己負担となります。健康に関する不安がある場合は医療機関にご相談ください。体の状態には個人差があります。
「健康経営」という言葉が、経営の語彙として定着しました。認定制度が整い、取得を目指す企業も増えています。従業員の健康を経営課題として扱う——その発想自体は、大きな前進だと思います。 ただ、産業医として企業の現場に関わってきた経験から、ひとつ気になっていることがあります。 その制度の網から、経営者本人がしばしば抜け落ちるということです。 従業員の健診受診率は追いかけているのに、ご自身の健診は何年か受けていない。社員には残業を減らせと言いながら、自分は深夜まで働いている。よくある光景です。そして、これは意志の弱さの問題ではなく、構造上そうなりやすいという話でもあります。 この記事では、健康経営という制度の枠組みを確認したうえで、なぜ経営者本人が抜け落ちるのか、そして何から手をつけられるのかを整理します。 健康経営とは、何を指す言葉か 健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に取り組むという考え方です。経済産業省がその普及を進めており、優良な取り組みを行う法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」が2016年度に創設されました[1][2]。 制度は大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、認定を受けた企業は、従業員や求職者、取引先、金融機関などから評価を得やすくなるとされています[2]。 背景にあるのは、健康を「コスト」ではなく「投資」として見る発想の転換です。この投資という視点そのものについては、経営者の「健康投資」——ヘルスケアをROIで考えるときでくわしく扱っています。 なぜ、経営者本人が抜け落ちるのか 制度が整っているのに、なぜ経営者自身は対象外になりやすいのでしょうか。理由は少なくとも3つあります。 理由1:法定健診の対象は「労働者」である 労働安全衛生法にもとづく一般健康診断は、事業者が「常時使用する労働者」に対して実施する義務を負うものとして定められています[3]。 つまりこの義務は、事業者が労働者に対して負うものです。代表取締役をはじめとする役員は、労働者に該当しない限り、原則としてこの義務の対象には含まれないと整理されます。(ただし、使用人兼務役員など就業の実態によって取り扱いは異なりますので、実際の判断は顧問の社会保険労務士や産業医にご確認ください。) 義務がないということは、受けないという選択が制度上とがめられないということです。誰からも催促されない。ここに最初の穴があります。 理由2:「休めない」という構造 体調の変化に気づいても、経営者にはそれを申告する相手がいません。従業員であれば上司に相談し、業務を調整するという回路がありますが、その回路の終着点に立っている人には、同じ仕組みが働きません。 さらに、代替がききにくいという事情もあります。「自分が止まると事業が止まる」という感覚は、多くの経営者が共有しているものだと思います。 理由3:出勤していれば「健康」だとみなされる ここが、健康経営の議論で最も見落とされやすい部分です。 プレゼンティーイズムという概念があります。出勤はしているものの、体調不良によって本来のパフォーマンスが発揮できていない状態を指す言葉です。 米国の企業データを用いた分析では、10の健康状態について費用を推計したところ、多くの項目でプレゼンティーイズムに伴う損失が医療費そのものを上回り、関連費用全体の18〜60%を占めたと報告されています[4]。休んでいないから健康、という前提が成り立たないことを示す結果です。 経営者の場合、この見えにくさはさらに増します。休まないどころか、誰よりも長く働いている。だから「大丈夫だろう」と、本人も周囲も判断してしまいます。 長時間労働というリスク——数字が示すもの 働く時間そのものについては、大規模な研究があります。 60万人以上を対象とした系統的レビュー・メタ解析では、週55時間以上働く人は、週35〜40時間の人と比べて脳卒中のリスクが約33%高く、冠動脈疾患のリスクも約13%高いという関連が報告されています[5]。 これは集団としての統計的な関連であり、個々人の将来を予測するものではありません。また、長時間労働そのものが原因なのか、それに伴う睡眠不足やストレスといった要因を介しているのかについても、議論が続いています。 それでも、経営に携わる方にとって示唆的な数字だと思います。週55時間は、平日に11時間ずつ働けば到達する水準です。多くの経営者にとって、例外的な忙しさではないはずです。 働く時間の長さそのものよりも、そこで生じる負荷とその回復のバランスが問題になります。ストレス反応の仕組みについてはコルチゾールを下げる科学、回復の考え方については経営判断を鈍らせる疲労——経営者のための回復戦略、そして回復の土台となる睡眠については寝ても疲れが取れないのはなぜ?でそれぞれ扱っています。 「キーマンリスク」という言い方 経営の側から見ると、この問題は別の名前で呼ばれます。キーマンリスク——特定の人物に依存した事業構造が抱えるリスクのことです。 事業承継や資金調達の場面では、金融機関や投資家がこの点を実際に見ています。経営者の健康は、本人の私的な事柄であると同時に、法人の継続性に関わる要素でもあるということです。 このテーマは、事業承継や法人としてのリスク管理という実務の側面を含むため、稿を改めてくわしく扱う予定です。ここでは、健康経営を「従業員に対する施策」としてだけ捉えると、この視点が抜け落ちてしまうという点を指摘しておきます。 何から始めるか 大げさな取り組みでなくとも、着手できることはあります。 まず、自分の健診を予定に入れる:義務がない以上、意識的に予定として確保しない限り実行されません。従業員の健診受診率を追うのと同じ厳密さで、ご自身の受診も管理項目に入れてみてください。相談できる医師を平時に決めておく:何かあってから探すのでは遅くなります。産業医がいる規模であれば、経営者ご自身が相談できる関係を作っておくのも一つの方法です。睡眠時間を記録する:主観的な疲労感よりも、記録のほうが正直です。一週間つけるだけでも、実態が見えてきます。「代替できない業務」を棚卸しする:自分が数日離脱したときに何が止まるのかを書き出しておくことは、リスク管理であると同時に、休みやすさを作る作業でもあります。数値の推移を線で見る:単年の結果ではなく、数年分を並べて傾きを見る。検査で測れること・測れないことの整理についてはアンチエイジングドックとはもご参照ください。 こうした「守り」に加えて、能動的に健康を組み立てるという発想についてはエグゼクティブのための「攻めの健康管理」入門で、加齢が意思決定そのものに与える影響については経営判断を鈍らせる「脳の加齢」で扱っています。 「後回しにしていた」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。現在は産業医としても企業の健康管理に関わっています。 深夜の救急外来には、経営に携わる方も運ばれてきます。そうした場面で、ご本人やご家族から驚くほど頻繁に聞いた言葉があります。 「忙しくて、後回しにしていました」 健診の案内は届いていた。少し前から違和感もあった。でも、来月には大きな商談がある、決算が近い、人が足りない——そうやって順番が繰り下がっていくうちに、繰り下げられなくなる日が来る。 救急の現場にいたころ、私はこれを個人の不注意だと考えていました。産業医として企業に関わるようになって、見方が変わりました。これは構造の問題です。 誰も催促しない、代わりがいない、休んでいないから健康だと見える。この3つが重なれば、多くの人が同じ選択をします。 だからこそ、意志ではなく仕組みで解く必要があります。予定に入れる、記録する、相談先を決めておく。地味ですが、構造に対しては構造で応じるのが確実だと考えています。 まとめ 健康経営は従業員の健康管理を経営的視点で捉える考え方で、経済産業省による認定制度も整備されています。ただしその制度は、原則として「労働者」を対象とする枠組みの上に成り立っています。経営者本人が抜け落ちやすいのには理由があります。法定健診の実施義務が原則として労働者を対象としていること、体調不良を申告する相手がいないこと、そして出勤していればパフォーマンスが落ちていても見えにくいこと(プレゼンティーイズム)の3つです。週55時間以上の労働と脳卒中・冠動脈疾患リスクとの関連を示した大規模研究もあります。これは集団としての統計的関連ですが、経営に携わる方には現実味のある水準です。意志ではなく仕組みで——予定に入れる、記録する、相談先を平時に決めておく、といった手当てから始めるのが現実的だと考えています。 会社の健康を語る立場にある方ほど、ご自身は後回しになりがちです。従業員に向けている基準を、一度ご自身にも当てはめてみていただければと思います。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、ストレス反応や自律神経のはたらきに着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 日々の負荷とのつきあい方にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 会社の健康診断を、役員である自分も受けることはできますか? A. 一般に、労働安全衛生法にもとづく健康診断の実施義務は「常時使用する労働者」を対象とするものであり、労働者に該当しない役員は原則として対象外と整理されます。ただし、実施義務がないことと、会社の費用で受けられないこととは別の問題です。就業の実態や社内規程によって取り扱いは異なりますので、顧問の社会保険労務士や税理士、産業医にご確認ください。 Q. プレゼンティーイズムは、どうすれば把握できますか? A. 企業単位では、質問票を用いた調査で従業員全体の傾向を把握する方法が知られています。個人としては、主観的な感覚よりも記録が有効です。睡眠時間、業務の所要時間、判断に迷った回数などを一定期間つけてみると、体調とパフォーマンスの関係が見えてくることがあります。まずは睡眠の記録から始めるのが取り組みやすいと思います。 Q. 健康経営優良法人の認定を取れば、経営者の健康問題も解決しますか? A. 認定は組織としての取り組み体制を評価するものであり、経営者個人の健康状態を保証するものではありません。むしろ認定取得の過程では従業員向けの施策に注力することになるため、ご自身のことが後回しになる場合もあります。組織としての取り組みと、経営者個人の健康管理は、別の課題として並行してお考えいただくのがよいと思います。 参考文献 経済産業省「健康経営」— 従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することに関する政策情報。出典経済産業省「健康経営優良法人認定制度」— 優良な健康経営を実践する法人を顕彰する制度(2016年度創設。大規模法人部門・中小規模法人部門)に関する解説。出典厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~」— 一般健康診断・特殊健康診断の種類と、対象となる労働者・実施時期を整理した資料。出典Goetzel RZ, Long SR, Ozminkowski RJ, Hawkins K, Wang S, Lynch W.「Health, absence, disability, and presenteeism cost estimates of certain physical and mental health conditions affecting U.S. employers」(2004年、Journal of Occupational and Environmental Medicine, 46(4):398–412)— 10の健康状態について医療費・欠勤・障害・プレゼンティーイズムの費用を推計し、プレゼンティーイズムが関連費用の18〜60%を占めたことを報告した研究。doi:10.1097/01.jom.0000121151.40413.bd. 出典Kivimäki M, Jokela M, Nyberg ST, et al.「Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,838 individuals」(2015年、The Lancet, 386(10005):1739–1746)— 週55時間以上の労働と脳卒中・冠動脈疾患リスクとの関連を報告した系統的レビュー・メタ解析。doi:10.1016/S0140-6736(15)60295-1. 出典Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する研究。 ※上記の研究知見は集団を対象とした統計的関連や制度上の枠組みを示すものであり、個々の方の将来を予測したり、特定の検査・治療による効果を保証したりするものではありません。法制度の適用は個別の就業実態により異なります。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。また法制度に関する記述は一般的な整理であり、個別の判断は専門家にご相談ください。自由診療の費用は全額自己負担となります。健康に関する不安がある場合は医療機関にご相談ください。体の状態には個人差があります。
健康診断の結果表で、肝機能の欄に目を落とす。ALT、AST、γ-GTP——いずれも基準値の範囲内。「肝臓は問題なし」。多くの方が、そこで安心して次の項目に目を移されると思います。 その判断は、病気を見つけるという意味では正しいものです。しかし、「肝臓が加齢の影響を受けていない」ことまでを意味するわけではありません。 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。多少のダメージを受けても症状を出さず、検査値にも表れにくい。その沈黙は、裏を返せば変化が進んでいても気づきにくいということでもあります。 この記事では、肝臓という臓器そのものが加齢とともにどう変わっていくのか、そして「肝機能が正常」という言葉が何を意味し、何を意味しないのかを整理します。 肝臓は「老いにくい臓器」なのか 肝臓には、他の臓器にはあまり見られない特徴があります。再生する力が強いということです。手術で一部を切除しても、残った部分が大きくなって機能を補います。細胞が入れ替わり続ける仕組みも保たれています。 このため、肝臓は加齢に強い臓器だと考えられてきました。実際、他の臓器と比べて機能の低下は緩やかです。 しかし近年の研究では、肝臓もまた老化の細胞・分子レベルの特徴をひととおり示すことが指摘されています[1]。ゲノムの損傷、エピジェネティックな変化、ミトコンドリア機能の低下、細胞老化、そして軽度の慢性炎症——老化研究で整理されてきた仕組みが、肝臓でも同じように働いているという整理です。この「老化の特徴」という枠組み自体は、細胞・分子レベルの現象を12に整理した総説にもとづくもので[5]、全体像については「老化の12の特徴」とはでくわしく解説しています。 つまり肝臓は「老いない」のではなく、老いていることが見えにくい臓器だ、というのが現在の理解に近いと言えます。 加齢とともに、肝臓に何が起きているのか 具体的にどんな変化が報告されているのかを、いくつか挙げます。 容積と血流が減っていく 健康な成人を対象とした研究では、年齢が上がるにつれて肝臓の容積と肝血流量がいずれも減少するという関連が報告されています[2]。単位重量あたりの血流(肝灌流)についても、同様の傾向が示されています。 肝臓は、心臓から送り出される血液のうち相当な割合を受け取り、そこで解毒や代謝を行っています。その流量が細っていくということは、同じ仕事をするための余力が少しずつ削られていくことを意味します。全身の血管の変化については「血管年齢」とは何か、細い血管のめぐりについては「ゴースト血管」と若返りで扱っています。 類洞(るいどう)の壁が「詰まって」いく 肝臓の内部には、類洞と呼ばれる特殊な毛細血管が張りめぐらされています。この血管の壁を作る細胞には無数の小さな穴(フェネストラ)が空いていて、血液中の成分が肝細胞へ直接受け渡される通路になっています。 加齢に伴い、この穴が減り、壁が厚くなる変化が起こることが、ヒトの肝組織を用いた研究で報告されています[3]。研究者はこれを「偽毛細血管化(pseudocapillarization)」と呼びました。ふつうの毛細血管のように壁が閉じてしまう、という意味です。 穴が減ると、血液と肝細胞のあいだの物質のやりとりが不利になります。脂質の処理や薬の代謝が加齢とともに変化する背景のひとつとして、この構造変化が注目されています[1][3]。 エネルギーと処理能力が落ちる 肝細胞のミトコンドリア機能が低下することも報告されています[1]。肝臓は体内でもとりわけエネルギーを消費する臓器であり、その供給が細ることは処理能力全体に影響します。ミトコンドリアの働きについてはミトコンドリアと若さでくわしく扱っています。 また、不要になったタンパク質や小器官を分解・再利用するオートファジーの働きも、加齢とともに落ちることが知られています[1]。 「肝機能が正常」は、何を保証しているのか ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。 健康診断で測られるALTやASTは、肝細胞が壊れたときに血液中へ漏れ出す酵素です。つまりこれらの数値は、「今まさに肝細胞が壊れているかどうか」を反映する指標であって、「肝臓にどれだけ余力が残っているか」を測るものではありません。 肝臓には大きな予備能があります。だからこそ、相当な変化が進んでも数値は動かない。逆に言えば、数値が明らかに動いたときには、すでにかなりのことが起きているということでもあります。 さらに、加齢に伴う容積・血流・類洞構造の変化は、こうした酵素の値には基本的に表れません。「肝機能は正常」という結果は、病気を否定するうえでは意味のある情報ですが、加齢に伴う変化がないことの証明にはならないのです。 検査で測れること・測れないことの一般的な整理については、アンチエイジングドックとはでも扱っています。 肝臓の老化は、全身とつながっている 肝臓は代謝の中枢です。そこでの変化は、肝臓の中にとどまりません。 薬の効き方が変わります。 肝血流と代謝能の低下により、同じ用量の薬でも体内に残りやすくなる場合があります。年齢を重ねるほど薬の量や組み合わせに注意が必要になる理由のひとつが、ここにあります。 脂質やブドウ糖の扱い方が変わります。 類洞の構造変化は、血液中の脂質粒子の処理にも影響しうると考えられています[3]。糖の過剰が引き起こす変化については糖化と老化で扱っています。 腸と直結しています。 腸から吸収された物質は、門脈という血管を通ってまず肝臓に運ばれます。腸内環境の変化が肝臓に影響を及ぼしうるのはこの構造のためで、腸内環境と全身の健康でくわしく解説しています。 慢性炎症の舞台にもなります。 加齢に伴う軽度の炎症は肝臓でも観察され、全身のインフラメイジングと連続した現象として捉えられています[1]。この概念については慢性炎症と老化をご覧ください。 日常で意識できること 肝臓の加齢変化そのものを止める方法は、現時点では確立していません。ただし、負担を上乗せしない工夫は誰にでもできます。 アルコールは量と頻度を意識する:肝臓が処理を担う代表的な負荷です。休肝日を含め、ご自身の適量を把握しておくことが基本になります。体重と内臓脂肪:脂肪の蓄積は肝臓にとって大きな負荷要因です。急激な減量ではなく、緩やかな維持が現実的です。薬・サプリメントの重複に注意する:市販薬や健康食品を含め、肝臓で代謝されるものが重なると負担が増します。服用中のものは一覧にして、医師や薬剤師に共有してください。睡眠と食事のリズム:肝臓の代謝は体内時計の影響を強く受けます。夜遅い食事が続く生活は、肝臓にとって不利に働きます。健診を「点」ではなく「線」で見る:基準値内であっても、数年分の推移を並べると傾きが見えてくることがあります。前年比の変化に目を向けてみてください。 いずれも地味な項目ですが、肝臓に関しては派手な方法よりもこうした積み重ねのほうが、現時点では確からしい選択だと考えています。 「肝臓には、代わりがない」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 数か月前の健診では何の指摘もなかった方が、黄疸と意識障害で運ばれてくる。家族に伺うと「少し疲れやすかったけれど、それだけでした」とのこと。市販の解熱鎮痛薬を飲み続けていた方、複数の医療機関からの薬が重なっていた方——原因はさまざまでしたが、共通していたのはそこまで負担がかかっているとご本人が思っていなかったことでした。 そしてもうひとつ、現場に長く立つなかで痛感したことがあります。肝臓には「代わり」がない、ということです。 腎臓の働きが大きく失われた場合には、透析があります。負担は決して小さくありませんが、失われた機能を体の外から肩代わりし、年単位で生活を支えられる手段が確立している——これは医療にとって非常に大きなことです。一方、解毒、タンパク質の合成、糖と脂質の代謝、胆汁の産生と多岐にわたる肝臓の仕事を、まとめて代替する装置は存在しません。血漿交換などの人工肝補助はありますが、回復や移植を待つあいだ全身を支えるための手段であり、透析のように長期の生活を成り立たせる仕組みには至っていません[6][7]。最終手段の肝移植も、適応とドナーが限られます。 救命救急センターでは毎年、搬送患者さんの内訳と転帰を集計します。集計上、腎臓疾患の患者さんに比して明らかに肝臓疾患の患者さんの方が死亡率が高かったことが強く印象に残っていますが、肝臓を代替する装置が存在しないことと大きく関係があるように思います。 こうした経験から、私は肝臓については症状が出るのを待ってはいけないと考えるようになりました。肝臓は普段いっさい文句を言いませんが、声を上げたときにはすでに終盤に近く、そこから引き返せる余地は他の臓器より小さいからです。 もちろん、救急の現場で出会う急激な事態と、加齢に伴う緩やかな変化とでは、時間の尺度が異なります。それでも、静かであることは、大丈夫であることを意味しない——この一点においては同じです。だからこそ、検査値の推移を長い目で追い、負担を上乗せしない習慣を先に整えておくことに意味があると考えています。 まとめ 肝臓は再生力が強く「老いにくい臓器」と考えられてきましたが、近年の研究では、老化の細胞・分子レベルの特徴をひととおり示すことが指摘されています。老いないのではなく、老いが見えにくい臓器だという理解に近づいています。加齢に伴い、肝臓の容積と血流の減少、類洞(肝臓内の特殊な毛細血管)の穴が減り壁が厚くなる「偽毛細血管化」、ミトコンドリア機能の低下などが報告されています。これらはALT・ASTといった一般的な肝機能検査には基本的に表れません。「肝機能は正常」という結果は病気を否定するうえで意味がありますが、加齢変化がないことの証明にはなりません。数値の推移を長期で見ること、アルコール・体重・薬の重複といった負担を上乗せしないことが、現実的な備えになります。腎臓には透析という機能を肩代わりする手段が確立していますが、肝臓の多岐にわたる働きをまとめて代替する方法は現時点では存在しません。人工肝補助はあくまで回復や移植までの時間を支えるもので、この「代わりがない」という性質が、肝臓を先回りして気にかけておくべき臓器にしています。 沈黙している臓器ほど、こちらから気にかけておく必要があります。肝臓は文句を言わずに働き続けてくれる分、その静かな変化に目を向ける習慣を持っていただければと思います。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています。血液の肝機能指標との関連については当院関係者を含むグループによる観察研究が報告されていますが[4]、これは対照群を置かない観察研究であり、治療と変化の因果関係を示すものではありません(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 細胞レベルの若々しさや生物学的年齢にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 肝機能の数値が基準値内なら、肝臓の老化は心配しなくてよいですか? A. 基準値内であることは、現時点で肝細胞が大きく壊れる出来事は起きていない、という意味では前向きな情報です。ただしALTやASTは肝細胞の障害を反映する指標であり、加齢に伴う容積・血流・組織構造の変化を測るものではありません。単年の値だけでなく、数年分の推移を並べて傾きを見ることをおすすめします。 Q. 「肝臓に良い」とされる食品やサプリメントは効果がありますか? A. 特定の食品やサプリメントが肝臓の加齢変化を止めたり戻したりすることを示す確立した根拠は、現時点ではありません。またサプリメント自体も肝臓で代謝されるため、種類が重なると負担になる場合があります。服用中のものは医師・薬剤師にお伝えのうえ、ご判断ください。 Q. お酒を飲まなければ、肝臓の老化は防げますか? A. アルコールは肝臓にとって大きな負荷要因ですので、量と頻度を意識することには意味があります。ただし、加齢に伴う肝臓の変化は飲酒の有無にかかわらず生じるものであり、飲まないことで老化そのものを防げるわけではありません。体重や内臓脂肪、薬の重複、生活リズムなど、複数の要因を合わせてお考えいただくのがよいと思います。 参考文献 Hunt NJ, Kang SWS, Lockwood GP, Le Couteur DG, Cogger VC.「Hallmarks of Aging in the Liver」(2019年、Computational and Structural Biotechnology Journal, 17:1151–1161)— 老化の細胞・分子レベルの特徴が肝臓においてどのように現れるかを整理した総説。doi:10.1016/j.csbj.2019.07.021. 出典Wynne HA, Cope LH, Mutch E, Rawlins MD, Woodhouse KW, James OFW.「The effect of age upon liver volume and apparent liver blood flow in healthy man」(1989年、Hepatology, 9(2):297–301)— 24〜91歳の健康な被験者65名を対象に、加齢と肝容積・肝血流量との負の相関を報告した研究。doi:10.1002/hep.1840090222. 出典McLean AJ, Cogger VC, Chong GC, Warren A, Markus AMA, Dahlstrom JE, Le Couteur DG.「Age-related pseudocapillarization of the human liver」(2003年、The Journal of Pathology, 200:112–117)— ヒトの肝組織において、加齢に伴い類洞内皮の小孔が減少し壁が厚くなる「偽毛細血管化」が生じることを報告した研究。出典Kamada Y, Sato T, Kessoku T, Sumida Y, Ono M, Ryotokuji K.「Effects of laser acupuncture (stress-free therapy) on blood liver function indicators」(2025年、Laser Therapy, 32:403)— ストレスフリー療法と血液の肝機能指標に関する185例の観察研究(対照群を置かない観察研究であり、因果関係を示すものではありません)。doi:10.4081/ltj.2025.403.López-Otín C, Blasco MA, Partridge L, Serrano M, Kroemer G.「Hallmarks of aging: An expanding universe」(2023年、Cell, 186(2):243–278)— 老化を特徴づける細胞・分子レベルの現象を12に整理した総説。doi:10.1016/j.cell.2022.11.001. 出典Bernal W, Wendon J.「Acute liver failure」(2013年、The New England Journal of Medicine, 369(26):2525–2534)— 急性肝不全の原因・診断・集中治療・肝移植の適応を整理した総説。doi:10.1056/NEJMra1208937. 出典玄田拓哉「急性肝不全の内科的集中治療」(2020年、日本消化器病学会雑誌, 117(9):763–771)— 血漿交換・血液濾過透析などの人工肝補助を含む、急性肝不全に対する内科的集中治療の現状を整理した総説。出典 ※上記の研究知見は肝臓の加齢に関する一般的な理解を示すものであり、特定の検査・治療による効果や若返りを保証するものではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なもの、および対照群を置かない観察研究を含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。自由診療の費用は全額自己負担となります。健康に関する不安がある場合は医療機関にご相談ください。体の状態には個人差があります。