The Hidden Cause
このような不調はありませんか?
常に「闘争・逃走反応」が働き、リラックスできない状態。血管が収縮し、全身の血流が遮断されています。
高血圧や血糖値の上昇。
「薬を飲んでいるから大丈夫」と、根本原因を放置していませんか?
脳への血流不足(酸欠)は「ブレイン・フォグ」を招き、経営判断に必要な直感力や決断力を奪います。
About Stress-Free Therapy
当院は「ストレスフリー療法」を提供しています。
ストレスフリー療法とは、身体の6点に心地よい赤外線刺激を与える、独自の温熱アプローチです。
特許取得済みの精密な温度制御により、効率よく血行を促進。副作用のリスクを抑え、日常のストレスで緊張した心身を優しく解きほぐします。
48℃未満の心地よい刺激が、効率的に血流を促し、深いリラックス状態へと導きます。銀座の落ち着いた空間で、身体への負担を抑えた科学的なアプローチをご提供します。



ストレスフリー療法は、独自の温熱周波数により深部体温を上げ、自律神経に直接アプローチする方法です。ただ温めるだけではない、3つの生理学的反応を引き起こします。
心地よい温熱刺激で身体を芯から温め、滞りがちな血行を促進して、冷えによる悩みや毎日のコンディションを整えます。
独自の温熱リズムが日々のストレスで張り詰めた心身の緊張を優しくほぐし、深いリラックス状態へと導きます。
患部や特定のポイントを温めることで、日頃の活動で蓄積した筋肉の疲れを和らげ、身体のこりを健やかにほぐします。
Our Strengths
| ストレスフリー療法 | 再生療法 | 高級スパ・整体 | |
|---|---|---|---|
| アプローチ | 血流・神経(根本改善) | 細胞レベル | 筋肉・表層 |
| リスク | 極小 | 身体的負担あり | ほぼなし |
| 心理的面 | 日常的なメンテナンス | 最後の一手 | ご褒美・癒やし |
STRENGTHS
Treatment Guidelines
現代社会のストレスフルな環境にさらされ続けることで慢性的に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモンの一つ)の低下を促し、体の不調の根本原因へのアプローチを目指す。
全身の血流量の増幅を促し、体内の37兆個の細胞一つ一つをくまなく活性化し、自己治癒力を最大限引き出すことを目指す。
加齢とともに減少する成長ホルモンの体内からの分泌力を再生し、代謝・免疫・認知機能の復調を目指す。
エストロゲン・テストステロンといった性ホルモンの体内からの分泌を促し、血管・脳・骨・筋肉・皮膚へのホルモン本来の保護作用の復活を目指す。
抗炎症サイトカインであるIL-10の産生を促し、老化の原因である慢性炎症をはじめとする体内の炎症の駆逐を目指す。
体内の1京個のミトコンドリアの機能の正常化を促し、活性酸素の発生を減じ、炎症性老化の抑制を目指す。
複合的・総合的なアプローチの積み重ねにより、テロメアの短縮抑制や細胞の老化時計を巻き戻すことで、遺伝子レベルでの生物学的年齢の若返りの実現を目指す。
Treatment Guidelines
MASSAGE

東日本大震災をきっかけに、厳しい寒さの中で人が置かれる身体的負担と向き合い、体温や代謝が生命活動に与える影響を深く見つめ直しました。
そこから、身体に過度な負担をかけないケアの研究が始まりました。
生命倫理委員会の指針に基づき、独自の呼吸法と温熱刺激による心身への影響を科学的に検証。
最小限の刺激で深いリラックスをもたらす、科学的根拠に基づいた温熱療法を、銀座から丁寧に提供してまいります。
KENJI RYOTOKUZI
了徳寺 健二

ストレスフリー療法と出会い、その効果に強い可能性を感じました。
身体への負担を抑えながら、本来の状態へと整えていく——その考え方に深く共感しています。
この療法を、必要としている方にきちんと届けたい。
その想いから、2023年4月より銀座数寄屋橋クリニックにて、
ストレスフリー療法に特化した診療を行っています。
日々忙しく、自身のケアが後回しになりがちな方こそ、
安心して身を委ねられる時間と環境を大切にしたい。
銀座という場所から、誠実な医療のかたちを提供してまいります。
TAKUNORI SATO
佐藤 琢紀

Clinic Information/Access
〒104-0061
東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル7F

Blog
多くの会社には、リスクの一覧があります。 取引先の与信、為替、原材料の調達、システム障害、情報漏えい、自然災害。それぞれに担当者がいて、想定される影響額があり、対応の手順が決めてあります。 ところが、その一覧に「代表者が来週から2か月出社できなくなる」という行が入っている会社は、あまり多くありません。 これは、起こる確率が低いから抜けているのではありません。担当者を決めようがないから抜けているのだと思います。ほかのリスクには対応する人がいますが、このリスクだけは、対応すべき本人がリスクの中身そのものだからです。 この記事では、経営者・役員・後継者の健康を、精神論ではなくリスクマネジメントの実務として扱う方法を整理します。なお本記事は一般的な情報提供であり、保険・税務・財務に関する助言を行うものではありません。 「キーマンリスク」は、もともと契約と保険の言葉だった この言葉自体は、経営の現場で以前から使われてきました。融資の審査、M&Aのデューデリジェンス、投資契約の条項——「特定の人物に事業が依存している状態」は、外部から見れば評価すべきリスクだからです。 ただ、そこで想定されてきたキーマンの喪失は、主に退任・引き抜き・死亡でした。 いま問題になりつつあるのは、もっと地味で、もっと頻度の高い事象です。「辞めてはいないが、しばらく働けない」という状態。入院、手術、療養、そして「出社はしているが本来の判断ができていない」期間。 契約書に書かれるのは前者ですが、経営を実際に揺らすのは後者のほうです。 数字で見る——「一人依存」はどのくらい進んでいるか 日本企業の現状を、確認できる数字で見ておきます。 社長の平均年齢は60.8歳です。 帝国データバンクの全国調査(2025年)によれば、これは35年連続の上昇で、過去最高を更新しました。10年前(2015年・59.2歳)から1.6歳、30年前(1995年・55.4歳)からは5.4歳上がっています[1]。 後継者が決まっていない企業は50.1%です。 同社の2025年調査では、全国約27万社のうち約13万8千社が「後継者不在」または承継の方向が定まっていない状態でした。7年連続で改善しており、2017年のピークからは16.4ポイント低下していますが、それでもなお2社に1社です[2]。 この2つを重ねると、日本企業の平均的な姿が見えてきます。60代の経営者が、後継が決まらないまま実務の中心に立っている。 中小企業庁の事業承継ガイドラインが繰り返し指摘してきたのも、承継が「いつか考えること」として先送りされやすいという構造でした[3]。 そして先送りの前提には、たいてい「自分はまだ働ける」という健康の見込みがあります。その見込みが外れたときに何が起きるかが、次の話です。 経営者が倒れると、実際に何が起きるのか 「社長が抜けたら困る」というのは感覚的にはわかりますが、定量的に測るのは難しい問題でした。辞めるかどうかは業績と無関係ではないからです。業績が悪いから辞めるのか、辞めたから悪くなるのかを分けられません。 これをうまく切り分けた研究があります。 デンマークの中小企業およそ1万3千社を対象に、1996年から2012年のデータを用いて、「CEOの入院」という本人の意思とは独立した出来事の前後で企業業績を比較した研究です。結果として、CEOの入院は企業の収益性と投資行動に有意な影響を与えており、10日以上の入院では総資産営業利益率(OROA)が約1パーセントポイント低下したと報告されています[4]。 この研究で興味深いのは、もうひとつの結果です。同じことが他の上級役員の入院では起こらなかった——影響はCEOに特有のものでした。また、若いCEO、成長中の企業、同族経営の企業、人的資本が重要な業種ほど、影響が大きいことも示されています。 デンマークの中小企業のデータであり、日本にそのまま当てはめられるわけではありません。ただ、「経営者の不在は、感情の問題ではなく数字に出る」ということを、これほど明確に示した研究は多くありません。 制度の穴——役員は、健診の枠の外にいる ここからが、産業医の立場から見て最も気になっている点です。 労働安全衛生法は第66条で、事業者に対し労働者への健康診断の実施を義務づけています。定期健康診断の対象は「常時使用する労働者」で、年1回以上の実施が求められます[5]。 この仕組みは、日本の職域保健の土台としてよく機能してきました。ただし、ここには構造上の前提があります。守られるのは「労働者」である、ということです。 取締役などの役員は、原則として労働基準法上の労働者には当たらないと解されており、そのため事業者に課された定期健康診断の実施義務の対象にも、原則として含まれません(使用人兼務役員など、実態として労働者性が認められる場合は別です。個別の判断は社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください)。 つまり、こういう構造になります。 従業員は、会社が仕組みとして健康を見る。経営者は、自分で見る。 そして、経営者ほど「自分で見る」ための時間と動機が乏しい。ここに穴があります。 「代わりがいない」ことが、受診を遠ざける もうひとつ、現場で繰り返し見てきた構造があります。 従業員の場合、健診の日程は会社が決め、受けていなければ産業保健の担当者が声をかけます。仕事は同僚が代わります。受けない理由を自分で説明する必要があります。 経営者の場合、そのすべてが逆になります。日程は自分で決め、催促する人はおらず、休めば仕事は止まり、受けない理由を誰にも説明しなくていい。 「代わりがいないから休めない」は、裏返せば「代わりがいないから、倒れたときの影響が最も大きい」ということです。影響が最大の人が、点検から最も遠い。この構造については健康経営を語る前にでも別の角度から扱いました。 倒れる前から、損失は始まっている キーマンリスクというと「倒れる」瞬間を想像しがちですが、実務上はもっと手前から影響が出ています。 プレゼンティーイズム——欠勤には至っていないものの、健康上の問題によって本来のパフォーマンスが出せていない状態を指す概念です。経済産業省の健康経営の枠組みでも、健康投資の効果を測る指標のひとつとして位置づけられています[6]。 米国の雇用主を対象とした費用分析では、10の健康状態について集計したところ、多くの条件でプレゼンティーイズムのコストが医療費そのものを上回り、総コストの18〜60%を占めたと報告されています[7]。 一般の従業員でこれだけの幅があるとすれば、判断の質がそのまま事業の成否になる立場ではどうか。ここは測定が難しい領域で、確立した推計値があるわけではありません。ただ、少なくとも「倒れていないから問題がない」とは言えない、ということは言えます。 日々のコンディションと判断の関係については経営判断を鈍らせる疲労、加齢に伴う意思決定の変化については経営判断を鈍らせる「脳の加齢」で扱っています。 「管理できるリスク」に変えるための、4つの実務 健康は完全にはコントロールできません。ただ、管理不能なリスクを、管理可能な部分と不可能な部分に分けることはできます。他のリスクでやっていることと同じです。 1. 誰がキーマンかを、文書として特定する。 感覚ではなく、書き出します。「この人が3か月不在になると、止まる意思決定・契約・取引先はどれか」。多くの場合、代表者以外にも1〜2名が浮かび上がります。財務の実務、特定顧客との関係、技術の中核。キーマンは一人とは限りません。 2. 受診を「個人の心がけ」から「業務プロセス」に移す。 従業員の健診がうまくいっているのは、本人の意識が高いからではなく、仕組みになっているからです。同じ構造を役員にも適用します。年初に日程を先に入れる。役員会の議題として実施状況を確認する。秘書や管理部門が日程管理の責任を持つ。意識を変えるのではなく、決め方を変える。 これが産業保健で一貫して有効だった方法です。 3. 不在時の意思決定権限を、先に決めておく。 倒れてから決めるのでは間に合いません。金融機関への連絡、決裁権限の委譲範囲、印章の管理、取引先への説明。「2週間不在」「3か月不在」の2段階で書いておくと現実的です。これは事業継続計画(BCP)の一部として扱える性質のものです。 4. 承継の時間軸と、健康の時間軸を重ねて見る。 事業承継は準備に数年を要するとされています。一方、健康上の変化は前触れなく来ることがあります。承継計画の想定期間が、健康の見込みより長くなっていないか。 承継の進め方については中小企業庁のガイドラインが手順を示しています[3]。財務・税務・法務の設計については、顧問の専門家にご相談ください。 なお、キーマン保険などの金融商品による備えについては、当院は助言を行う立場にありません。保険・税務の専門家にご確認ください。 「代わりがいない人ほど、遅れて運ばれてくる」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。救急科専門医であるとともに、産業医の資格も持っています。 救急外来で何度も見てきた光景があります。 搬送されてきた方の症状が、明らかに「今日始まったものではない」ことがあります。胸の違和感が数週間続いていた。息切れが階段で出ていた。それでも受診していない。理由を伺うと、多くの場合、答えは病気の話ではありません。「休めなかった」です。 そして、その方が事業を背負う立場であればあるほど、付き添ってこられた方や、夜中に鳴り続ける携帯電話が、その人の不在が何を止めるのかを教えてくれました。処置をしながら、この人が今日ここにいることで、明日いくつの判断が宙に浮くのだろうと考えたことが何度もあります。 救急医の仕事は、起きてしまった後を引き受けることです。そこから見ると、ひとつはっきりしていることがあります。救急で出会う多くの出来事は、時間をさかのぼれば、点検の機会が何度かあった。 見逃されたのではなく、行かなかっただけ、ということが少なくありません。 産業医として企業を見るとき、私はこの順序を逆にしたいと思っています。倒れてから「代わりがいない」と気づくのではなく、代わりがいないとわかっている段階で点検する。 リスクマネジメントとしては、ごく当たり前の順序です。 まとめ 「キーマンリスク」は従来、退任や死亡といった不可逆な喪失を想定した契約・保険の言葉でしたが、実務で経営を揺らすのは「辞めていないが働けない」期間のほうです。 日本の社長の平均年齢は60.8歳で35年連続の上昇、後継者不在の企業は50.1%と2社に1社です。改善傾向にはありますが、「後継が決まらないまま、経営者が実務の中心に立ち続ける」という構図が依然として一般的です。 デンマークの中小企業約1万3千社を対象とした研究では、CEOの入院という本人の意思と独立した出来事の前後で収益性と投資が有意に低下し、10日以上の入院では総資産営業利益率が約1パーセントポイント下がったと報告されています。同じ影響は他の上級役員の入院では見られませんでした。 労働安全衛生法にもとづく定期健康診断の対象は「労働者」であり、役員は原則としてその枠の外にあります。影響が最も大きい人が、点検の仕組みから最も遠いという構造になっています。 損失は倒れる前から始まっています。プレゼンティーイズムは、米国の分析で多くの健康状態において医療費を上回るコストを占めたと報告されており、判断の質が事業を決める立場では、より大きな意味を持ち得ます。 健康は完全には制御できませんが、「キーマンの特定」「受診の業務プロセス化」「不在時の権限設計」「承継と健康の時間軸の突き合わせ」という4点は、他の経営リスクと同じ手順で管理できます。 リスク台帳に載っていないものは、管理されません。健康を台帳に載せることが、最初の一歩だと考えています。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、慢性的なストレスと血流という土台の部分に着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体を整えることを目指しています。ストレス関連の指標や皮下温度に関する予備的な研究は報告されていますが[8]、これらは小規模な研究であり、特定の疾患の予防や、経営上のリスクの低減を保証するものではありません(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 ご自身の状態を数値で把握しておきたいという方には、生物学的年齢はどう測る?やアンチエイジングドックとはもあわせてご覧ください。施術の流れや費用は当院のメニュー・料金ページにまとめています。 よくある質問 Q. 役員にも健康診断を受けさせたいのですが、会社の費用で実施して問題ないでしょうか。 A. 実施そのものは多くの企業で行われていますが、費用の会計上・税務上の取り扱い(役員賞与とみなされるか等)は、対象範囲や実施方法の設計によって判断が分かれる領域です。当院は税務の助言を行う立場にありませんので、顧問税理士や社会保険労務士にご相談いただくのが確実です。制度上の位置づけとしては、労働安全衛生法にもとづく実施義務は「労働者」を対象としており、役員は原則としてその枠の外にある、という点が出発点になります。 Q. 経営者本人が受診を先延ばしにしている場合、周囲は何ができますか。 A. 「体を大事にしてください」と伝えることは、多くの場合あまり効きません。産業保健の現場で有効だったのは、意識ではなく決め方を変えることでした。年間スケジュールに先に入れてしまう、日程管理の責任者を決める、役員会の定例議題として実施状況を確認する、といった手続きの設計です。本人の意志に依存する部分を減らすほど、実施率は上がります。 Q. 「キーマンリスク対策」として、まず何から手をつければよいですか。 A. 費用も時間もかからない順でいえば、「この人が3か月不在になると止まるものは何か」を書き出すことからだと思います。多くの場合、代表者以外にも複数のキーマンが見つかります。そのうえで、不在時の意思決定権限を2段階(短期・中期)で決めておくと、事業継続計画の一部として機能します。財務・保険・承継スキームの設計については、それぞれの専門家にご相談ください。 参考文献 株式会社帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査(2025年)」(2026年2月)— 全国の社長の平均年齢が60.8歳となり35年連続で上昇したこと、10年前・30年前との比較を示した調査レポート。出典 株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(2025年11月)— 全国約27万社を対象に、後継者不在率が50.1%(7年連続の改善、2017年のピークから16.4ポイント低下)であることを示した調査レポート。出典 中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」(2022年3月改訂)— 中小企業の事業承継について、課題の整理と5つのステップによる進め方を示した公的な手引書。親族外承継・第三者承継(M&A)も含めて解説している。出典 Bennedsen M, Pérez-González F, Wolfenzon D.「Do CEOs Matter? Evidence from Hospitalization Events」(2020年、The Journal of Finance, 75(4):1877–1911)— デンマークの中小企業約1万3千社(1996〜2012年)を対象に、CEOの入院という外生的な出来事を用いて企業業績への影響を推定した研究。10日以上の入院で総資産営業利益率が約1パーセントポイント低下し、同様の影響は他の上級役員の入院では認められなかったと報告している。doi:10.1111/jofi.12897. 出典 厚生労働省「労働安全衛生法にもとづく定期健康診断」(安衛法第66条・労働安全衛生規則第44条に関する資料)— 事業者に対する労働者への健康診断の実施義務と、定期健康診断の対象(常時使用する労働者)・実施頻度を示した公的資料。出典 経済産業省「企業の『健康経営』ガイドブック(改訂第1版)」— 健康経営の考え方と、アブセンティーイズム/プレゼンティーイズムを含む効果指標の測定方法を整理した公的資料。出典 Goetzel RZ, Long SR, Ozminkowski RJ, Hawkins K, Wang S, Lynch W.「Health, Absence, Disability, and Presenteeism Cost Estimates of Certain Physical and Mental Health Conditions Affecting U.S. Employers」(2004年、Journal of Occupational and Environmental Medicine, 46(4):398–412)— 10の健康状態について医療費・欠勤・障害・プレゼンティーイズムのコストを推計し、多くの条件でプレゼンティーイズムが医療費を上回り総コストの18〜60%を占めたと報告した研究。doi:10.1097/01.jom.0000121151.40413.bd. 出典 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する研究(小規模・予備的な研究であり、特定の疾患の予防効果を検討したものではありません)。 ※上記の調査・研究は一般的な理解を示すものであり、特定の検査・治療・サービスによる効果や、経営上の成果を保証するものではありません。海外で行われた研究の結果を日本の環境にそのまま当てはめられるわけではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康および企業のリスク管理に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。保険・税務・財務・法務に関する助言を行うものではなく、個別の制度の適用可否については、それぞれの専門家および所轄の行政機関にご確認ください。健康上の不調がある場合は、医療機関にご相談ください。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。
ある日、メニューを腕いっぱいに伸ばして読んでいる自分に気づく。夕方になると画面の文字がにじむ。夜の運転で、対向車のライトがやたらまぶしい。 目の変化は、たいてい「疲れ」か「歳」のどちらかで片づけられます。ただ、このふたつはまったく別の現象です。そして「歳」のほうも、実はひとつの話ではありません。 目という器官は、レンズ(光学系)・フィルム(神経系)・それを養う血管(循環系)という、性質の異なる3つの仕組みが重なってできています。加齢で変わるのは、その3つがそれぞれ別のタイミングで、別の理由で、です。 この記事では、目に起きている変化を層ごとに分けて整理します。そして最後に、眼底が「全身の血管を生きたまま直接見られる唯一の場所」であるという、あまり知られていない話に触れます。なお当院は眼科診療を行っておらず、目の病気の診断・治療についてはご案内しておりません。 目は、3つの仕組みが重なってできている はじめに構造を確認します。 光学系——角膜と水晶体。外から入ってきた光を曲げて、奥にピントを合わせる部分です。カメラでいえばレンズにあたります。水晶体は自分の厚みを変えることでピント位置を動かしています。 神経系——網膜。眼球の内側に貼りついた、厚さ0.2〜0.3mmほどの神経の膜です。光を電気信号に変えて脳へ送ります。中心にある直径2mmほどの領域が黄斑で、私たちが「見ている」と感じている細かい視力のほとんどは、この一点が担っています。 循環系——網膜の血管と、その外側にある脈絡膜。脈絡膜は血管がぎっしり詰まった層で、体の中でも有数の血流量を持ち、酸素を大量に消費する網膜を裏側から支えています。 「見えにくい」という同じひとことでも、どの層の話かで意味がまったく変わります。ここを分けて考えると、見通しがよくなります。 加齢とともに、目に何が起きているのか 水晶体が硬くなる——老視 40代前後でほぼ全員が経験する変化です。 水晶体は、周囲の筋肉がゆるむと自分の弾力で厚くなり、近くにピントが合います。この調節力は、10代でおよそ10〜12ジオプター(D)あるものが、加齢とともにほぼ直線的に下がり、50代半ばにはほぼゼロに近づくことが古くから知られています[1]。 原因の中心は、水晶体そのものが硬くなることにあると考えられています。筋肉が衰えるからではありません。 ここが実務的に大事なところで、老視は「目の使いすぎ」で早まるものではなく、また「目の体操」で戻せるものでもないと考えられています。年齢とともに全員に起こる、光学系の物理的な変化です。 水晶体が濁る——白内障 同じ水晶体に起きる、別の変化です。 水晶体のタンパク質は、生まれてから一度もほとんど入れ替わりません。だからこそ、長い年月のあいだに紫外線や酸化、そして糖との結合(糖化)といった影響を蓄積していきます。この点については酸化ストレスと抗酸化、糖化と老化でも扱っています。 WHOの報告では、白内障は世界の視力障害・失明の原因として最大のものとされ、およそ9,400万人が影響を受けていると推計されています[2]。加齢に伴うごく一般的な変化であり、病気というより「誰にでも起こる水晶体の経年変化」と説明されることもあります。 夜のライトがまぶしい、白っぽくかすむ、といった自覚は、この濁りによる光の散乱で説明がつくことがあります。ただし同じ訴えが別の原因で起こることもあるため、自己判断はせず眼科でご確認ください。 眼底の血流が減っていく ここが、当院がとくに関心を持っている部分です。 網膜は、体重あたりの酸素消費量でいえば脳をしのぐとも言われる、非常に燃費の悪い組織です。それを支えているのが、裏側を流れる脈絡膜の血流です。 レーザードップラー法を用いた研究では、加齢に伴って中心窩(黄斑の中心)の脈絡膜血流が低下することが報告されています[3]。細い血管が減り、流れが落ちるという現象は、「ゴースト血管」と若返りで扱った毛細血管の話、静かに減っていく腎機能で扱った終末血管の話と、同じ流れの中にあります。 目もまた、微小循環に依存する臓器である。 これが本記事の基本線です。 黄斑という一点 その微小循環の上に乗っているのが、黄斑という直径2mmほどの一点です。 加齢黄斑変性は、この領域が加齢とともに変化し、中心の視力が損なわれる疾患です。世界的な系統的レビューとメタ解析では、2020年におよそ1億9,600万人、2040年には2億8,800万人が影響を受けると推計されています[4]。高齢化が進む地域ほど負担が大きくなる見通しです。 ここで強調しておきたいのは、黄斑がやられると、周辺が見えていても「読む」「顔を見分ける」ができなくなるということです。視野の広さではなく、中心の一点の質が生活を決めます。 片方の目をつぶって、格子や障子の桟をまっすぐ見たときに、線がゆがんで見えないか。 これは自宅でもできる確認方法として知られています。変化があれば、様子を見ずに眼科へご相談ください。 涙の層も変わる もうひとつ、加齢で変わるのが涙です。涙の分泌量と質は年齢とともに低下し、乾きやすくなります。 「目がしょぼしょぼする」「夕方になると見えにくい」という訴えの背景に、この乾きが混ざっていることは少なくありません。次の章につながる話です。 「目が疲れる」と「目が老ける」は、別の話 ここは分けておく価値があります。 画面を見続けたあとの目の重さ・かすみ・頭痛は、眼精疲労としてまとめられます。パソコン作業に伴うこの一群の症状については、利用者の6〜9割が何らかの視覚症状を経験しているという報告があり、主な原因として眼球運動・調節の問題と、ドライアイが挙げられています[5]。 つまり眼精疲労の主役は、ピント合わせの筋肉の緊張とまばたきの減少による乾きです。血流も関係しますが、「疲れ目=血行不良」と単純化はできません。 そして重要なのは、眼精疲労は目を老化させないということです。近くを見続けたから老視が早まる、という関係は確立していません。逆に、老視が始まっていると、無理にピントを合わせ続けることで疲れやすくなる——つまり「老化が疲れを呼ぶ」方向の関係はあり得ます。 順序が逆なのです。 なお、自律神経の緊張が続いているときには、瞳孔やピント調節も影響を受けます。この背景については自律神経の乱れを整えるで扱っています。 眼底は、全身の血管を直接見られる唯一の場所 ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。 私たちは体内の血管を、ふつうは直接見ることができません。画像に映すか、間接的な指標で推し量るしかない。 ただし一箇所だけ例外があります。眼底です。 瞳孔を通して光を入れれば、生きて流れている細い動脈と静脈を、切らずに、そのまま肉眼で観察できる。人体でここだけです。 だから眼底は古くから、全身の血管の状態を読む窓として使われてきました。高血圧による細動脈の変化、糖尿病による網膜の血管の変化は、その代表です。網膜の微小血管の所見が、血圧や全身の血管疾患と関連することは、長く研究されてきました[6]。 同じ発想は、他の器官でも取られています。皮膚の血流を全身の微小循環の代理指標として見る研究、脳の血流を加齢の指標として見る研究——いずれも「見えるところから、見えない全身を推し量る」という考え方です。目は、その中でもっとも解像度が高い窓だと言えます。 言い換えると、目の老化は「目だけの話」ではありません。 血管年齢で扱った大きな血管の硬化と、眼底で見える細い血管の変化は、地続きです。そして細胞・分子レベルでの共通の機序については、「老化の12の特徴」とはで全体像を整理しています。 日常で意識できること 年に一度は眼底を見てもらう。 40代以降は、自覚症状がなくても定期的な眼科受診が勧められています。緑内障のように、視野がかなり欠けるまで自覚が出にくいものもあります。 紫外線を避ける。 水晶体の経年変化に紫外線が関わることは知られています。サングラスやつばのある帽子は、皮膚にとっても目にとっても同じ方向の対策です。 禁煙。 目の加齢性変化に関しても、喫煙は繰り返し危険因子として挙げられています。 血圧・血糖・脂質を放置しない。 眼底で見える変化は、全身の血管の変化の一部です。 画面作業では意識してまばたきをし、こまめに遠くを見る。 眼精疲労の主因が調節の緊張と乾きである以上、理にかなった対処です。集中力を上げるには?で扱った作業の区切り方とも重なります。 睡眠を確保する。 目の症状が「夕方から」に偏る場合、睡眠の質が背景にあることがあります。 一方で、急に見えにくくなった、視野の一部が欠けた、ものが二重に見える、片目だけ線がゆがむ、光がチカチカ走る——こうした症状は、様子を見る対象ではありません。速やかに眼科、状況によっては救急の受診をご検討ください。 「まず瞳孔を見る」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急の現場で、意識のない方が運ばれてきたとき、最初にすることのひとつがペンライトで瞳孔を見ることです。 左右の大きさ、光を当てたときに縮む反応、その速さ。瞳孔の所見は、脳のどのあたりに何が起きているかを推し量る、きわめて早い手がかりになります。CTを撮るより先に得られる情報です。 白目の色も見ます。黄色ければ肝臓を、白すぎれば貧血を疑う。眼底が見られる状況なら、そこに全身の血管の履歴が映っていることもあります。 つまり救急医にとって目は、「見るための器官」である前に、"開いている脳"であり、"開いている血管"でした。外から中を直接のぞける、数少ない窓です。 この見方は、いまも変わっていません。「最近見えにくくて」というご相談を受けたとき、私はまず光学系(レンズ)の話なのか、神経系(網膜)の話なのか、それとも血管の話なのかを分けて考えます。そして眼科受診でしか分からない部分については、迷わず眼科受診をお願いしています。 まとめ 目は、光学系(角膜・水晶体)、神経系(網膜・黄斑)、循環系(網膜血管・脈絡膜)という性質の異なる3つの仕組みでできており、加齢による変化はそれぞれ別に進みます。 水晶体が硬くなることで起こる老視は、調節力が加齢とともにほぼ直線的に低下し、50代半ばにはほぼゼロに近づくことが知られています。目の使いすぎで早まるものでも、訓練で戻せるものでもないと考えられています。 白内障は世界の視力障害・失明の最大の原因とされ、およそ9,400万人が影響を受けていると推計されています。加齢黄斑変性は2040年に世界で2億8,800万人に達すると推計されています。いずれも診断・治療は眼科の領域です。 加齢に伴い、黄斑の中心を裏から支える脈絡膜の血流が低下することが報告されています。目は微小循環に強く依存する臓器であり、その意味で腎臓や脳と同じ問題を共有しています。 「目の疲れ」と「目の老化」は別の話です。眼精疲労の主因は調節の緊張とドライアイであり、それが老化を進めるという関係は確立していません。むしろ老視が始まっていることが、疲れやすさの背景になり得ます。 眼底は、全身の血管を生きたまま直接観察できる人体で唯一の場所です。目の変化を見ることは、目だけを見ることではありません。 見えにくさを「歳だから」で一括りにすると、対処できるものまで一緒に流れていってしまいます。分けて考えることが、いちばんの入口です。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、末梢の血流に着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています。脂質異常症の方を対象とした小規模な研究で、施術後に脈絡網膜の血流指標が上昇したとする予備的な報告があります[7]。ただしこれは少人数を対象とした予備的な研究であり、白内障・緑内障・加齢黄斑変性をはじめとする目の疾患の治療や予防を目的としたものでも、その効果を示すものでもありません(当院は眼科診療を行っておりません。はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 細胞レベルの若々しさや生物学的年齢にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. 目のトレーニングや「遠くを見る習慣」で、老眼は改善しますか? A. 老視の中心にあるのは水晶体そのものの硬化という物理的な変化であり、訓練によって調節力そのものを取り戻せるという考え方は確立していません。一方で、近くを見続けたあとに遠くを見て目を休めることは、眼精疲労の対策としては理にかなっています。「疲れを減らす」ことと「老視を戻す」ことは別のものとしてお考えください。矯正の方法については眼科でご相談ください。 Q. ルテインなどのサプリメントは、目の老化を防ぎますか? A. 栄養素と目の加齢性変化の関係については研究が続いている領域ですが、対象となる病期や条件によって位置づけが異なり、どなたにも一律にお勧めできるものではありません。当院は特定の製品をおすすめする立場にありませんので、必要性の判断は眼科の主治医にご相談いただくのが確実です。 Q. 目が疲れやすいのは、血行が悪いからでしょうか? A. 血流が関わる場面はありますが、「疲れ目=血行不良」と単純化はできません。パソコン作業に伴う目の症状では、ピント調節の緊張とまばたきの減少による乾きが主な原因として挙げられています。また、老視や未矯正の屈折異常、ドライアイなど、眼科で対応できる原因が隠れていることもあります。目の疲れが続く場合は、めぐりの問題と決めつける前に一度眼科でご確認ください。 参考文献 Charman WN.「The eye in focus: accommodation and presbyopia」(2008年、Clinical and Experimental Optometry, 91(3):207–225)— 調節の仕組みと、加齢に伴う調節力の低下(老視)の機序を整理した総説。doi:10.1111/j.1444-0938.2008.00256.x. 出典 World Health Organization.「World report on vision」(2019年、WHO, Geneva)— 世界の視力障害・失明の原因と規模を推計した公的報告書。白内障が視力障害・失明の最大の原因であり、約9,400万人が影響を受けているとしている。出典 Grunwald JE, Hariprasad SM, DuPont J.「Effect of aging on foveolar choroidal circulation」(1998年、Archives of Ophthalmology, 116(2):150–154)— レーザードップラー法により、加齢に伴って中心窩の脈絡膜血流が低下することを示した研究。doi:10.1001/archopht.116.2.150. 出典 Wong WL, Su X, Li X, Cheung CMG, Klein R, Cheng CY, Wong TY.「Global prevalence of age-related macular degeneration and disease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review and meta-analysis」(2014年、The Lancet Global Health, 2(2):e106–e116)— 加齢黄斑変性の世界有病率を推計し、2020年に約1億9,600万人、2040年に約2億8,800万人と将来推計した系統的レビュー・メタ解析。doi:10.1016/S2214-109X(13)70145-1. 出典 Rosenfield M.「Computer vision syndrome: a review of ocular causes and potential treatments」(2011年、Ophthalmic and Physiological Optics, 31(5):502–515)— パソコン作業に伴う目の症状について、利用者の64〜90%が視覚症状を経験するとし、主因として眼球運動・調節の問題とドライアイを整理した総説。doi:10.1111/j.1475-1313.2011.00834.x. 出典 Wong TY, Mitchell P.「The eye in hypertension」(2007年、The Lancet, 369(9559):425–435)— 網膜の微小血管所見と高血圧・全身血管疾患との関連を整理した総説。眼底を全身の微小循環を観察する窓として位置づけている。doi:10.1016/S0140-6736(07)60198-6. 出典 Ishimaru K, Nakajima T, Namiki Y, Ryotokuji K.「Influences of Pinpoint Plantar Long-Wavelength Infrared Light Irradiation (Stress-Free Therapy) on Chorioretinal Hemodynamics, Atherosclerosis Factors, and Vascular Endothelial Growth Factor」(2018年、Integrative Medicine Research, 7(1):103–107)— 脂質異常症の方を対象に、ストレスフリー療法の照射前後で脈絡網膜の血流指標等を検討した小規模・予備的な研究(開発者グループによる研究であり、目の疾患の治療や予防を検討したものではありません)。doi:10.1016/j.imr.2017.12.002. 出典 ※上記の研究知見は目の加齢に関する一般的な理解を示すものであり、特定の検査・治療・サプリメント・製品による効果や若返りを保証するものではありません。海外で行われた研究の結果を日本の環境にそのまま当てはめられるわけではありません。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。当院は眼科診療を提供しておりません。見え方の変化、視野の異常、目の痛みなどの症状については、眼科等の医療機関にご相談ください。急な視力低下や視野の欠けは緊急性があることがあります。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。
月経前になると、決まって調子が落ちる。イライラして家族に強く当たってしまう。理由もなく涙が出る。体が重く、頭が働かない。そして月経が始まると、嘘のように軽くなる。 この繰り返しを、「自分の性格の問題」「気の持ちよう」として引き受けてこられた方は、少なくないと思います。 しかし、月経前症候群(PMS)には、医学的な定義があります。 名前があり、診断の考え方があり、対応の選択肢もあります。 この記事では、月経前症候群(PMS)で体の中に何が起きているのかを整理します。なお当院はPMSの専門的な診療は行っておりません。 どこに相談すればよいかについても、あわせて触れます。 PMSとは何か——定義がはっきりしている 日本産科婦人科学会は、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)を、「月経前3〜10日の黄体期のあいだ続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義しています[1]。 ポイントは2つあります。 ひとつは、症状の内容ではなく「時期」で定義されていること。 イライラでも、腹部の張りでも、頭痛でも、眠気でも構いません。月経前に現れ、月経が始まると引いていく——このパターンこそが本質です。 もうひとつは、これが例外的な状態ではないこと。 生殖年齢の女性の多くが、程度の差はあれ月経前に何らかの不快感を経験するとされ、そのうち日常生活に大きく支障をきたす重症のPMSは数%程度と報告されています[2]。 さらに、精神症状がとくに強いものは月経前不快気分障害(PMDD)として区別されます。日本の診療指針でも、PMSにはACOGの診断基準、PMDDにはDSM-5-TRの診断基準が用いられると整理されています[3]。 「ホルモンが異常」なのではない ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。 PMSと聞くと、「ホルモンバランスが崩れているのだろう」と考えたくなります。ところが、PMSのある方とない方で、ホルモンの値そのものに差は見つかっていません。 これを鮮やかに示したのが、1998年に発表された研究です[4]。研究チームは、PMSのある女性とない女性に対して、薬剤で一度卵巣の働きを抑え、その後にエストロゲンやプロゲステロンを投与するという設計をとりました。 結果はこうでした。卵巣の働きを抑えているあいだ、PMSのある方の症状は改善しました。 そしてホルモンを戻すと、症状も戻りました。一方、PMSのない方に同じホルモンを投与しても、症状は起きませんでした。 つまり、同じホルモンの変動に対して、反応の仕方が人によって違う。 問題はホルモンの「量」ではなく、それに対する脳の側の感受性にある——これが現在の主要な理解です[2]。 この違いは重要です。「ホルモンが乱れているから正せばよい」のではなく、「正常な変動に対して強く反応してしまう体質がある」ということだからです。そして、体質は本人の努力不足ではありません。 体の中で、何が起きているのか 具体的な機序はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの経路が指摘されています。 プロゲステロンの代謝産物と脳の抑制系。 黄体期に増えるプロゲステロンは、脳内でアロプレグナノロンという物質に変わります。これは脳の抑制性の受容体(GABA-A受容体)に作用する物質で、その濃度変化に対する感受性の個人差が、不安やいらだちの出方に関わると考えられています[2]。 セロトニン系。 セロトニンに作用する薬剤がPMS・PMDDの症状に有効であることが臨床研究で示されており、この系の関与が支持されています(後述)[5]。 自律神経と血管運動。 頭痛、のぼせ、動悸、冷え、腹部の張りといった身体症状には、自律神経を介した血管や消化管の反応が関わります。自律神経そのものの考え方は自律神経の乱れを整える、末梢のめぐりについては手足の末梢の冷えと血流で扱っています。 水分・体液の分布。 月経前のむくみや体重増加の感覚には、体液の分布の変化が関わります。むくみの一般的な仕組みは夕方の脚のむくみはなぜ起こる?をご覧ください。 集中力・思考の鈍さ。 「頭に霧がかかったよう」という表現をされる方もいます。この感覚の一般的な整理はブレインフォグとはで扱っています。 なお、PMSは生殖年齢に起こるものであり、更年期にみられるホルモン低下に伴う変化とは別の現象です。加齢に伴う女性ホルモンの変化についてはエストロゲンと女性の加齢で扱っています。 「気のせい」でも「性格」でもない はっきり書いておきたいことがあります。 月経前の不調を「わがまま」「甘え」「情緒不安定」といった言葉で説明することは、医学的に誤りです。 前述のとおり、同じホルモン変動でも反応の仕方には個人差があり、その差は意志や性格によるものではありません。そして症状の出方も人により大きく異なります。ある方には強い眠気として、別の方には激しいいらだちとして現れる。症状が違うことは、症状がないことを意味しません。 ご自身に対しても、周囲の方に対しても、この点は同じです。 最初の一歩は、記録 診療の場面で最初に行われるのは、多くの場合症状の記録です。 理由は明快です。PMSの定義が「時期」に依存している以上、症状が月経周期と連動しているかどうかを確かめない限り、診断が成り立たないからです。記憶に頼って振り返ると、印象の強い月だけが残り、実際のパターンとずれてしまいます。 そのため、これから起こることを2周期程度、前向きに記録することが基本とされています[2][3]。 つけるのは難しいことではありません。 月経の開始日と終了日 その日の主な症状(複数可) 症状の強さ(0〜3の4段階程度で十分です) 日常生活に支障があったかどうか これだけで、受診したときの情報量が大きく変わります。「月経前がつらいです」と伝えるのと、2周期分の記録をお見せするのとでは、話の進み方が違ってきます。 どこに相談すればよいか まずは婦人科です。 PMS・PMDDは産婦人科領域で扱われる状態であり、日本産科婦人科学会からも診断・治療の指針が公開されています[3]。 精神症状がとくに強い場合や、月経周期と関係なく落ち込みが続いている場合には、精神科・心療内科との連携が検討されることもあります。「月経前だけなのか、それ以外の時期にもあるのか」の区別は、この判断で重要になります。ここでも記録が役に立ちます。 治療の選択肢としては、生活面の調整に加え、症状に応じた対症的な治療、排卵を抑える方法、セロトニンに作用する薬剤などが検討されます。セロトニン再取り込み阻害薬については、系統的レビューで重症のPMS・PMDDの症状を軽減する効果が示されています[5]。ただし、適応・用法・副作用の判断は診察のうえで行われるものです。当院はこれらの治療を提供しておりません。具体的な選択については婦人科でご相談ください。 なお「何科に行けばよいか分からない」という状態そのものについては、当ブログの「自律神経の乱れは何科に行けばいい?」でも一般的な考え方を扱っています。 日常で意識できること 以下は一般的な生活上の工夫であり、治療に代わるものではありません。 睡眠を優先する。 睡眠不足は症状の閾値を下げます。黄体期にあたる週は、予定を詰めすぎないという設計そのものが対策になります(寝ても疲れが取れないのはなぜ?)。 カフェイン・アルコールを見直す。 いずれも睡眠と自律神経に影響します。症状の強い時期だけでも量を意識してみてください。 運動を習慣に入れる。 強度より継続です。 予定を「周期」に合わせる。 記録がたまると、負荷の高い予定を避けたい時期が見えてきます。これは根性ではなく設計の問題です。 周囲に共有する。 職場や家庭で、時期によって調子が変わりうることを共有しておくと、対応の余地が生まれます。 ストレスへの対処を持っておく。 ストレス反応そのものの仕組みはコルチゾールを下げる科学で扱っています。 サプリメントについては、特定の製品をおすすめすることは差し控えます。 服用中のものがあれば、受診時に医師へお伝えください。 「いつからですか」——救急医の視点から 私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。 救急外来で最初に伺うことは、ほぼ決まっています。「いつからですか」。 急な出来事であれば、この問いには答えられます。しかし、繰り返し起きている不調ほど、この問いは答えにくくなります。 「前からときどき」「そういえば毎月かもしれません」——腹痛や体調不良で受診された女性から、こうしたお答えをいただくことは珍しくありませんでした。 そして、その場で月経周期との関係が見えることは、まずありませんでした。 救急外来は「今」を切り取る場所であり、周期という時間の構造を扱う設計になっていないからです。 こうした経験から思うのは、周期性のある不調は、記録している人にしか見えないということです。医師の側から見つけ出せるものではありません。本人でさえ、記憶だけでは見落とします。 もうひとつ、現場でよく耳にした言葉があります。「たいしたことないと思って」。 毎月のことだから。皆そうだと聞いたから。だから相談しなかった、と。 けれど、繰り返しているという事実そのものが、相談してよい理由だと私は考えています。一度きりの痛みより、毎月訪れる不調のほうが、人生に占める時間は長いからです。 まとめ PMS(月経前症候群)は、「月経前3〜10日の黄体期に続き、月経の開始とともに軽くなる精神的・身体的症状」として定義されている医学的な状態です。症状の内容ではなく、月経周期との連動というパターンで定義されます。 PMSのある方とない方で、ホルモンの値そのものに差は見つかっていません。卵巣機能を抑えると症状が改善し、ホルモンを戻すと症状も戻る一方、PMSのない方に同じホルモンを投与しても症状は起きないことが示されています。問題は量ではなく、変動に対する感受性の個人差だと理解されています。 したがって、月経前の不調を性格や意志の問題として説明することは医学的に誤りです。症状の出方の個人差も大きく、症状が違うことは症状がないことを意味しません。 診断の第一歩は、2周期程度を前向きに記録することです。相談先はまず婦人科で、精神症状が強い場合は精神科・心療内科との連携が検討されます。セロトニンに作用する薬剤などの選択肢について、系統的レビューで効果が示されています。 毎月のことだから、と我慢を重ねる必要はありません。記録を持って、一度ご相談いただくところからで十分だと思います。 当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、ストレス反応や自律神経のはたらきに着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています。皮下温度やストレス指標に関する予備的な研究は報告されていますが[6]、これらは小規模な研究であり、当院はPMS・PMDDの専門的な診療は行っておりません。月経前の不調については婦人科をご受診ください(当院の施術は研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。 日々の負荷とのつきあい方にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。 よくある質問 Q. PMSは何科に相談すればよいですか? A. まずは婦人科です。PMS・PMDDは産婦人科領域で扱われる状態で、学会から診断・治療の指針も公開されています。精神症状がとくに強い場合や、月経周期と関係なく気分の落ち込みが続いている場合には、精神科・心療内科との連携が検討されることもあります。受診の際に2周期分の記録をお持ちいただくと、話が進みやすくなります。 Q. 月経前だけでなく、いつも気分が落ち込んでいます。それもPMSですか? A. PMSは「月経前に現れ、月経開始とともに軽くなる」という周期性で定義されるため、時期に関係なく症状が続いている場合は、別の背景を考える必要があります。ただし、もともとある不調が月経前に強まるという形もあります。この区別は記録によって見えやすくなりますので、症状のある日を毎日記録して受診時にお示しいただくのがよいと思います。 Q. 市販のサプリメントを試してもよいですか? A. 特定の製品をおすすめすることは差し控えます。効果と安全性の検証の程度は製品によって大きく異なり、また服用中の薬との相互作用が問題になる場合もあります。試されている、あるいは試そうとお考えのものがあれば、受診の際に医師へお伝えください。まずは記録と受診を優先していただくのが確実だと考えています。 参考文献 公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)」— 月経前3〜10日の黄体期に続き月経発来とともに減退・消失する精神的・身体的症状というPMSの定義を示した学会の一般向け解説。出典 Yonkers KA, O'Brien PMS, Eriksson E.「Premenstrual syndrome」(2008年、The Lancet, 371(9619):1200–1210)— PMSの疫学・病態・診断・治療を整理したセミナー論文。ホルモン値そのものではなく変動に対する感受性の個人差という理解、および前方視的な症状記録の必要性を論じている。doi:10.1016/S0140-6736(08)60527-9. 出典 日本産科婦人科学会 女性ヘルスケア委員会「月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針」(2023-2024年度)— PMSにはACOG、PMDDにはDSM-5-TRの診断基準を用いること等を整理した学会の指針。出典 Schmidt PJ, Nieman LK, Danaceau MA, Adams LF, Rubinow DR.「Differential Behavioral Effects of Gonadal Steroids in Women with and in Those without Premenstrual Syndrome」(1998年、The New England Journal of Medicine, 338(4):209–216)— 卵巣機能を抑制すると症状が改善し、ホルモン投与で再現される一方、PMSのない女性では同じ投与で症状が生じないことを示した研究。doi:10.1056/NEJM199801223380401. 出典 Marjoribanks J, Brown J, O'Brien PMS, Wyatt K.「Selective serotonin reuptake inhibitors for premenstrual syndrome」(2013年、Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 6, CD001396)— 重症のPMS・PMDDに対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬の効果を評価した系統的レビュー。doi:10.1002/14651858.CD001396.pub3. 出典 Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年、Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法と皮下温度・ストレス指標に関する研究(小規模・予備的な研究であり、PMS・PMDDを対象としたものではありません)。 ※上記の資料はPMS・PMDDに関する一般的な医学的理解と学会の指針を示すものであり、個々の方の診断や、特定の治療による効果を保証するものではありません。薬剤の適応・用法・副作用の判断は診察のうえで行われます。ストレスフリー療法に関する研究は小規模・予備的なものを含み、はたらき方や結果には個人差があります。 本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。当院は月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)の専門的な診療は行っておりません。月経前の不調でお困りの場合は婦人科を、気分の落ち込みが強い場合は精神科・心療内科等をご受診ください。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。