締めつけられる頭痛——緊張型頭痛と血流・緊張
頭全体が、帽子をかぶったように、あるいはバンドで締めつけられるように重く痛む。ズキンズキンと脈打つほどではないけれど、なんとなく一日中つらい——。
このような頭痛は、「緊張型頭痛」と呼ばれるタイプにあてはまることが多く、頭痛のなかで最もよく見られるもののひとつです。ただし、頭痛には「様子を見てよいもの」と「すぐに受診すべきもの」があります。今回は、緊張型頭痛の特徴を整理したうえで、救急医として見てきた、見逃してはいけない頭痛のサインもお伝えします。
緊張型頭痛とは——「最も身近な頭痛」
2021年に発表されたレビュー論文では、緊張型頭痛は世界で最も有病率の高い神経疾患とされています。特徴は、軽度から中等度の強さで、頭の両側に出ることが多く、締めつけられる・押さえつけられるような痛みで、階段の上り下りなどの日常的な動作で悪化しないことです[1]。
診断は、頭痛の経過や症状の聞き取りにもとづき、ほかの原因が否定されたうえで行われます。つまり、「この検査をすれば確定する」というものではなく、ほかの病気ではないことを確かめながら、特徴に照らして判断していく頭痛です[1]。
原因は「ひとつ」ではない
緊張型頭痛の仕組みは、まだ完全には解明されていません。同じレビューでは、痛みが生まれる背景には末梢(頭や首まわりの筋肉など)の仕組みが関わっている可能性が高く、慢性的な頭痛になる過程では、痛みを感じ取る神経系の過敏さ(中枢性の感作)が関わっている可能性が指摘されています[1]。
なかでも、心理的ストレスは、緊張型頭痛と関わりの深い要因のひとつです。ストレスと頭痛の関係を整理した2016年のレビューでは、ストレスが頭痛の引き金になりうることや、頭痛が慢性化していく過程にストレスが関わりうることがまとめられ、研究全体としては「ストレスと頭痛の間には関連がある」という見方が支持されていると述べられています[2]。ストレスが続くと、首・肩まわりの筋肉が無意識にこわばったり、睡眠が浅くなったりしやすく、それが頭痛につながるという悪循環も考えられます。
日常の感覚としては、次のような要素が重なりやすいと言われます。
- 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による、首・肩まわりの筋肉の緊張
- 睡眠不足、不規則な生活
- 心理的なストレス、緊張が続く状態
肩こりとの関係は、慢性的な肩こりと血行不良で、睡眠との関係は睡眠の質で扱っています。ストレスと自律神経・ホルモンの関わりについては、自律神経を整えるやコルチゾールを下げる科学も参考にしてください。
ほかの頭痛との見分け方
頭痛にはいくつかのタイプがあり、治療や対処の方向性も異なります。一般的な目安を整理します。
| 緊張型頭痛 | 片頭痛 | |
|---|---|---|
| 痛み方 | 締めつけられる・押さえつけられる | ズキンズキンと脈打つことが多い |
| 場所 | 頭の両側・頭全体 | 片側のことが多い |
| 強さ | 軽度〜中等度 | 中等度〜重度 |
| 動いたとき | 悪化しない | 悪化しやすい |
| 吐き気・光や音への過敏 | 目立たない | 伴うことが多い |
あくまで目安であり、実際には両方が混ざっていたり、典型的でなかったりすることもあります。自己判断が難しい場合は、医師に相談してください。
日常でできる工夫と、鎮痛薬との付き合い方
つらい頭痛が続くと、つい市販の鎮痛薬に頼りたくなります。痛みを我慢しすぎる必要はありません。ただし、鎮痛薬を頻繁に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなる「薬剤の使用過多による頭痛」という状態があることも知られています。『頭痛の診療ガイドライン2021』にも、独立した項目として整理されています[4]。薬の種類や使う頻度に不安がある方は、医師や薬剤師に相談してください。
日常の工夫としては、次のようなことが挙げられます。
- 同じ姿勢を続けず、こまめに首や肩を動かす。
- 睡眠時間と起床時間をできるだけ一定にする。
- 軽い運動や入浴など、体をゆるめる時間をつくる。
- 頭痛が起きた日時、強さ、前後の出来事を簡単に記録しておく(受診の際に役立ちます)。
延べ約36,000人を診てきた救急医の視点——「いつもと違う頭痛」を見逃さない
私は銀座数寄屋橋クリニックの院長を務める前、約20年にわたり国立の医療機関で救急医として勤務し、延べ約36,000人の患者さんの診療にあたってきました。
救急外来には、「頭が痛い」という訴えで来られる方が、数多くいらっしゃいます。その大多数は、緊張型頭痛や片頭痛のような、命に関わらない頭痛です。一方で、ごく一部に、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎など、一刻を争う病気が隠れていることがあります。だからこそ、救急の現場では、頭痛の「強さ」よりも、「いつもと違うかどうか」を重視して話をうかがいます。
頭痛の診療に関するレビュー論文では、背景に別の病気がある頭痛を疑うサインが「SNNOOP10」として整理されています。具体的には、発熱などの全身症状、がんの既往、手足の麻痺や意識の変化などの神経症状、突然始まった頭痛、高齢になってからの新しい頭痛、これまでと頭痛のパターンが変わった、姿勢で変化する、くしゃみ・咳・運動で誘発される、鎮痛薬の使いすぎなどが挙げられています[3]。
次のような場合は、様子を見ずに、ためらわず救急要請や救急受診をしてください。
- 突然、これまで経験したことがないほどの激しい頭痛が起きた(数秒〜数分でピークに達するような頭痛)。
- 頭痛とともに、手足の力が入らない、しびれる、ろれつが回らない、物が二重に見える、意識がぼんやりする、けいれんがある。
- 頭痛とともに、高い熱と首の硬さ(うなじが前に曲がらない)がある。
- 頭を強く打った後から頭痛が続いている、または悪化している。
これらに当てはまらなくても、頭痛が日に日に強くなる、頻度が急に増えた、朝方にとくにひどいといった変化がある場合は、早めに医療機関を受診してください。「いつもの頭痛だろう」という思い込みが、受診を遅らせてしまうことがあります。
まとめ
- 緊張型頭痛は、締めつけられるような軽度〜中等度の頭痛で、世界で最も有病率の高い神経疾患とされています。仕組みはまだ完全には解明されていません。
- 睡眠、姿勢、ストレスなどが重なりやすいと考えられ、日常の工夫が役立つ場合があります。
- 鎮痛薬を頻繁に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなる場合があります。不安な方は医師・薬剤師に相談してください。
- 「突然の激しい頭痛」「麻痺やろれつの異常」「高熱と首の硬さ」など、いつもと違う頭痛は、ためらわず救急要請・救急受診を。
頭痛は、多くの方が経験するありふれた症状です。だからこそ、「いつもの頭痛」と「危険な頭痛」を見分ける目を持つことが、ご自身を守ることにつながります。
当院はストレスフリー療法を専門に提供しており、ストレスホルモン(コルチゾールなど)や血流に着目しながら、穏やかな温熱刺激を通じて体の土台を支えることを目指しています(研究知見にもとづく予備的なもので、はたらき方や結果には個人差があり、費用は全額自己負担となります)。健康な成人15名を対象にした小規模な予備的研究では、施術の前後でストレスマーカー(ACTH、コルチゾール、唾液アミラーゼ)が低下したと報告されています[5]。ストレスや緊張が続いている実感がある方は、一度ストレスフリー療法をお試しになってみてはいかがでしょうか。頭痛が続く、あるいは不安な症状がある場合は、当院にご相談いただくか、脳神経内科を受診してください(必要に応じて専門の病院を紹介いたします)。その科学的な考え方についてはストレスと老化の科学で解説しています。
日々の負荷とのつきあい方にご関心のある方は、施術の流れや費用をまとめた当院のメニュー・料金ページもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 市販の鎮痛薬は、どのくらいの頻度まで使ってよいですか?
A. 使ってよい回数は、薬の種類や体質、持病、ほかに飲んでいる薬によって異なります。鎮痛薬を頻繁に使う状態が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなることがあるため、使用回数が増えている場合は、医師や薬剤師に相談してください。当院にご相談いただくか、脳神経内科を受診してください。
Q. どんな頭痛なら、病院を受診したほうがよいですか?
A. 「突然の激しい頭痛」「手足の麻痺やろれつの異常を伴う頭痛」「高熱と首の硬さを伴う頭痛」「頭を打った後の頭痛」は、救急要請・救急受診の目安です。そのほか、頭痛が日に日に強くなる、頻度が急に増えた、これまでと違う感じがする、といった場合も、早めの受診をおすすめします。
Q. 肩こりがひどいと、頭痛も起こりやすくなりますか?
A. 緊張型頭痛では、首や肩まわりの筋肉など末梢の仕組みが関わっている可能性が指摘されています[1]。ただし、肩こりがあれば必ず頭痛が起こるわけではなく、個人差があります。肩こりと頭痛が続く場合は、当院にご相談いただくか、脳神経内科・内科を受診してください。
参考文献
- Ashina S, Mitsikostas DD, Lee MJ, et al.「Tension-type headache」(2021年, Nat Rev Dis Primers, 7(1):24)— 緊張型頭痛の疫学・特徴・診断・仕組み・治療を整理したレビュー。doi:10.1038/s41572-021-00257-2. PMID:33767185. 出典
- Martin PR.「Stress and Primary Headache: Review of the Research and Clinical Management」(2016年, Curr Pain Headache Rep, 20(7):45)— ストレスと一次性頭痛の関係を整理したレビュー。doi:10.1007/s11916-016-0576-6. PMID:27215628. 出典
- Do TP, Remmers A, Schytz HW, et al.「Red and orange flags for secondary headaches in clinical practice: SNNOOP10 list」(2019年, Neurology, 92(3):134–144)— 他の病気が背景にある頭痛を疑うサイン(SNNOOP10)を整理したレビュー。doi:10.1212/WNL.0000000000006697. PMID:30587518. 出典
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修『頭痛の診療ガイドライン2021』(医学書院, 2021年)— 国内の頭痛診療の指針。緊張型頭痛、薬剤の使用過多による頭痛などの項目を含む。出典(Minds)
- Ryotokuji K, et al.「Effect of pinpoint plantar long-wavelength infrared light irradiation on subcutaneous temperature and stress markers」(2013年, Laser Therapy, 22:93–102)— ストレスフリー療法に関連する小規模・予備的な研究(健康な成人15名。ACTH・コルチゾール・唾液アミラーゼ等を測定)。
本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の検査・治療・製品の効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず、当院や脳神経内科・内科にご相談ください。突然の激しい頭痛、手足の麻痺やろれつの異常、高熱と首の硬さ、意識がぼんやりするなどの場合は、ためらわず救急要請・救急受診をしてください。自由診療の費用は全額自己負担となります。体の状態には個人差があります。
監修医プロフィール
院長
佐藤 琢紀(サトウ タクノリ)
元国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長。専門:救急医療、集中治療、ストレスフリー療法、全人的医療。経歴:東北大学医学部卒、順天堂大学大学院卒。命の最前線である救急医療に20年以上従事。「病気になる前に救う」ための戦略的医療を提唱し、2023年より銀座数寄屋橋クリニック院長に着任。救急科専門医、医学博士。
- メッセージ
- こんにちは、院長の佐藤琢紀です。救急医として約20年間、36,000人もの診療に当たってきました。「病気になる前に救いたい」という思いから、いまは予防と若返りの医療へ。専門的な話もできるだけ自分の言葉でやさしくお届けします。様々な情報が溢れる時代だからこそ、「元氣で楽しい人生」を送る“本物”のヒントを皆さまに提供してまいります。 こちらでお願いいたします。
